2.交通体系の形成

 戦後、交通の分野では、経済・社会発展のボトルネックを生じさせないための輸送力の拡大が最優先の課題であった。このため、国は、交通基盤の整備に加え、交通事業について事業ごとに需給調整規制(注)等の規制を行って経営の安定を図り、交通サービスの安定的な供給を確保した。このような行政の取組みが、陸海空の各交通機関の設備投資を促し、輸送力の増強が図られた。
 このように、戦後の国土交通行政の主眼は、様々な施策により交通体系の形成を図ることにあった。以下では、まず輸送の動向を概観し、国内、国際それぞれの交通ネットワークの特徴を説明する。さらに、21世紀に残された課題として、総合的な交通体系形成の必要性について述べる。



(注) 需給調整規制:事業参入に当たっての行政の判断基準として、「需要と供給の関係を判断し、供給が多すぎると判断される場合に新規参入を認めない」という規制の一形態。

 

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