5.少子・高齢社会の到来

 21世紀の日本は、人口に占める高齢者割合が世界的にも例を見ないほど急速に高まるほか、総人口も減少する社会の到来という状況に直面しようとしている。これは、社会の活力維持への懸念を生じさせているばかりでなく、労働力需給の不均衡をはじめ、多くの分野で我が国の経済社会のあり方を変えることとなる。
 総人口に占める65歳以上の人口の割合を示す高齢化率の推移をみると、1970年の7.6%から2000年には17.2%へと増加し、2030年には28.0%に達するものと予測されている。特に、75歳以上の後期高齢者に着目すると、1970年にはわずか2.1%だった後期高齢化率が2000年には7.0%に達し、2030年には16.4%と現在の高齢化率にほぼ匹敵する水準に到達するものと見込まれる。
 さらに、高齢者に占める後期高齢者の割合をみると、1970年の30.2%から2000年の40.6%へと、過去30年間で約10%増加してきた。この値は30年後の2030年にはさらに20%近く増加し、58.7%に達するものと予測される。
 前期の高齢者に比べて、後期高齢者にとっては、日常生活を営む上で障害となる事項が増大する。例えば、交通機関やまちの施設に関するいくつかの項目について、外出時に障害と感じる人の割合を年齢別にみると、加齢に伴い、障害と感じる割合が増加する傾向がある。
 今後、後期高齢者の大幅な増加が予測される中、国土交通行政においても、バリアフリー化の推進をはじめ、高齢者が生き生きと暮らせる生活空間の創出に、これまで以上に重点を置く必要がある。

図表I-2-44 高齢化率と後期高齢化率の推移
図表I-2-44 高齢化率と後期高齢化率の推移



図表I-2-45 高齢者にとっての外出時の障害
図表I-2-45 高齢者にとっての外出時の障害



 

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