4.地球規模の課題に対するイニシアティブの発揮

 前章で述べたように、グローバル化の進展に伴い、地球規模の課題が様々な領域で顕在化してきている。このような課題は、従来からの国際的な枠組みでは必ずしも十分な対応ができない状況を惹起しつつあり、グローバル化を推進・補完するための枠組みが構築され、又は構築されつつある。例えば貿易の分野では、従来からの「モノ」のみを対象としたGATTの枠組みが拡充され、「サービス」を含み、より制度化されたWTOの枠組みが構築された。また、環境の分野では、例えば地球温暖化問題に対応するための枠組みが気候変動枠組み条約締約国会議等において構築されつつあり、この他の分野でも各国政府等の連携により地球規模の統治(グローバル・ガバナンス)が模索されている。
 国土交通行政分野でも、これまでIMO(国際海事機関)やICAO(国際民間航空機関)等の国際機関を中心に国際的な制度づくりや調整が行われてきた。また、WTO、APEC、OECD等の国際フォーラムにおいても国土交通分野を含めた議論がなされ、国際的な連携・協調が進められてきた。しかし、国土交通の視点を軸に据えて新しい地球規模の課題に取り組むための関係各国の議論がますます求められており、このための新しい土俵が必要となっている。
 このような、国土交通行政を軸とした政策形成のための新しい国際的なフォーラムは、国土交通分野が抱え、あるいは強く関与する国際的課題への対応能力を飛躍的に高め、それを通じて、国際社会全体にとって有効な解決策を導き出すことにつながることが期待される。
 このための具体的な取組みについては第2部において記述する。

図表I-3-23 新しいフォーラムの形成に向けて
図表I-3-23 新しいフォーラムの形成に向けて

 

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