5.国土計画のあり方の見直し

 第5次の全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」では、国土計画の理念の明確化、地方分権等の諸改革に対応、指針性の充実等により、21世紀に向けた新たな要請に応え得る国土計画体系の確立を目指すこととされている。これを受けて、新たな国土計画体系の基本方向と制度確立に際し検討すべき課題について「21世紀の国土計画のあり方」(国土審議会政策部会・土地政策審議会計画部会審議総括報告)が平成12年11月にとりまとめられた。
 さらに13年3月から、省庁再編後の新たな国土審議会において、14年秋頃を目途とする調査審議が開始され、13年11月に、国土審議会基本政策部会の中間報告「国土の将来展望と新たな国土計画制度のあり方」がとりまとめられた。この中間報告では、新たな国土計画制度として、国土計画の新たな役割を「良好な国土の継承への総合的国土管理指針」と位置づけ、全国総合開発計画と国土利用計画を一つの国土計画として提示するとともに、国と地方の協力の強化、開発構想提案型から成果重視の目標管理型の計画への転換を改革の狙いとし、以下の内容が掲げられた。今後、地方公共団体等の意見も聴取し、最終報告が取りまとめられる予定となっているが、国土審議会での審議結果を踏まえ、21世紀に相応しい新たな国土計画制度の確立を図っていく。

<国土審議会基本政策部会中間報告における国土計画体系の改革に関するポイント>

(i)国土計画の指針性の向上
 計画内容については、国が示すべきものに重点化・絞込みを行うほか、計画目標の体系化とアウトカム的な指標の提示、施策実施の効率化指針の提示などを行う。この計画策定手続きとして、パブリック・インボルブメントの仕組みの整備や地方公共団体からの意見聴取の制度化などを行う。また、計画策定後に、定期的に計画の達成度評価を行い、計画の推進に関して、関係行政部局、地方公共団体に提言するとともに、定期的に計画の妥当性を点検して計画をリボルビングする制度を整備する。

(ii)地域の自主性を尊重した広域計画の策定と一体的・効率的な整備の実現
 広域ブロック計画は、策定・推進・評価のプロセスを通じて、効率的・効果的な進行管理を行う仕組みを導入し、地域整備のビジョンと基本方針としての、関係主体に対する指針性の向上を図る。計画の策定主体としては、関係地方公共団体を中心とした地域の各主体が参加・協議して原案を作成し、その上で国が計画決定する仕組みを検討する。

(iii)土地利用をめぐる課題への対応
 全国計画における土地利用の指針については、時代の要請に応じた目標を提示できる柔軟な制度に改める。
 また、地方公共団体の土地利用に関する新たな計画の名称は、極力「指針」「構想」等とし、地域の実状に応じてより即地性のあるきめ細かな土地利用の構想を示すとともに、当該構想が住民等により共有され、実践活動に結びつくことが必要である。特に、市町村には、実質的な土地利用調整を図り、望ましい土地利用の実現が期待される。併せて、条例を含む土地利用に関する各種制度が選択的・統合的に運用されることを目指す。

 

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