第1節 都市の活力・競争力の向上に向けて

 近年熾烈なグローバル競争が展開される中で、我が国の競争力を高めるためには、その経済の中心地である大都市の競争力を強化することが不可欠である。そのためには、我が国の大都市を世界中から人やモノが集まるような魅力ある都市とする必要があると考えられる。しかしながら現状では、外国人旅行者が少ないことに象徴されるように、我が国の大都市に国際的な魅力が十分備わっているとは言い難い。

図表II-1-1 外国からの旅行者数
図表II-1-1 外国からの旅行者数



 このような状況を打開し、国際的に魅力ある都市の発展を図るためには、国際空港、港湾の整備などを通して、国際的な交流・物流の拠点としての機能を充実させると同時に、長時間通勤、道路やオープンスペースの不足、慢性的な交通渋滞など、多くの課題を抱える我が国の都市構造を改めていく必要がある。
 そのためには、不動産の証券化などによる土地の流動化の促進(詳細は第II部第9章参照)、産業構造の変化などにより都心や臨海部を中心に発生した大規模な工場跡地などの低・未利用地の整形・集約化、都市計画道路の整備の促進による高容積率の実現などを進めることによって、都市空間の高度利用を図り、都市の活力の核となる拠点を形成していくことが必要である。
 また、都市には多種多様な文化的資源が凝縮しており、アミューズメント機能も集積していることから、こうした資源を観光資源として有機的に組み合わせ、都市観光を振興することにより、都市のイメージが国際的に高まることが期待される。
 さらに、環境、景観、防災などの面から、生活空間としての都市の魅力を向上させ、世界に誇ることのできる品格ある都市づくりを進めるとともに、今後さらなる増加が見込まれる高齢者にやさしい、暮らし易いまちづくりを進めることも都市の活力や競争力を向上させるためには重要である(生活空間としてのまちづくりについては次節、高齢社会対策については第II部第7章参照)。

 

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