(2)きめ細やかな情報提供

1)気象情報の充実
 気象庁では、数値予報用スーパーコンピュータシステムを更新整備し、集中豪雨等に対する防災気象情報の作成に当たり重要となる局地予報のほか、週間天気予報、季節予報等の精度向上と情報の高度化を図っている。また、降雪量分布予報については、13年12月1日からは対象地域を拡大して実施している。

図表II-6-10 気象情報の高度化
図表II-6-10 気象情報の高度化

2)洪水予報対象河川の拡大
 洪水に関する情報提供を充実し、円滑で迅速な避難を行うことができるようにするため、13年6月、水防法の改正を行った。それにより、水防法に基づく洪水予報河川を指定し、洪水のおそれがある場合、気象庁長官と共同して状況を関係機関に通知することを、従来の国土交通大臣に加え都道府県知事が行うこと、また、国土交通大臣又は都道府県知事はその洪水予報河川について浸水想定区域を公表することなど様々な施策を講じている。改正のポイントは以下のとおり。

<水防法改正のポイント(平成13年6月改正)>
○洪水予報河川の拡充
・国土交通大臣に加え、新たに都道府県知事が、洪水により相当な損害を生ずるおそれがある河川を洪水予報を行う河川に指定する。
・都道府県知事は、洪水のおそれがある場合は、気象庁長官と共同して、その状況を水位又は流量を示して予報及び警報を行い、関係各機関へ通知し、必要に応じて報道機関等の協力を求めて一般に周知させる。
○国土交通大臣又は都道府県知事による浸水想定区域の公表を行う。
○浸水想定区域における円滑かつ迅速な避難を確保するための措置を講ずる。  等

3)ハザードマップ等の整備
 災害発生時には、周辺住民が適切な行動がとれるよう、安全な避難方法や避難経路などを住民の人たちにあらかじめ周知することが重要である。洪水、高潮、土砂災害、火山活動などによる災害危険区域や避難情報等を盛り込んだ地図(ハザードマップ)について、国としても技術的マニュアル及び基礎情報の整備等の支援を行うことなどにより、作成・配布の促進に取り組んでいる。また、富士山ハザードマップについては、13年度より内閣府、総務省、国土交通省、関係地方公共団体からなる協議会を設置し、マップの作成・活用方法等について検討を行い、14年度末を目途にハザードマップを作成することとしている。さらに、海上保安庁では、海上からの救難・救助活動を迅速かつ適切に行うため、「沿岸防災情報図」を各地区で整備し、防災関係機関に配布している。

図表II-6-11 ハザードマップ
図表II-6-11 ハザードマップ

図表II-6-12 ハザードマップの効果例
図表II-6-12 ハザードマップの効果例

4)災害リスク情報の整備・提供
 災害に対するリスクがどの程度あるのか場所ごとに評価を行い、その結果をインターネット等を通じて誰でも使用できるようにする。例えば、洪水ハザードマップの情報提供や場所ごとのリスク情報を評価したシミュレーション実施などを行う。さらに、様々な災害リスク情報をインターネット等から参照できるシステムの開発に取り組んでいる。

5)IT、マスメディア等を活用したリアルタイムな情報提供

(ア)インターネットや携帯電話を活用した災害情報の提供
 13年6月1日より、パソコンや携帯電話を通じ、インターネットでレーダ雨量、テレメータ水位や洪水予報、水防警報などの河川情報をリアルタイムで提供している。これにより、防災上有用な情報をより早く入手でき、被害軽減のための迅速な行動が可能となる。13年9月の台風15号接近時には、最大約70,000ページビュー/時間のアクセスがあるなど、ニーズの高いリアルタイムの河川情報の提供に役立っている。

(イ)マスメディアと連携した防災情報の提供
 河川のリアルタイムの水位等の図、河川の流況などのライブ映像を指定公共機関であるNHKに提供するとともに、詳細な気象情報を報道機関に提供することにより、災害時の情報がTV報道を通じて、各家庭にわかりやすく提供されるようにしている。

図表II-6-13 川の防災情報(インターネット版アクセス数)
図表II-6-13 川の防災情報(インターネット版アクセス数)

 

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