(3)災害発生時の迅速な初動体制の確立

1)省内災害対策本部
 国土交通省では、自然災害への対処について、災害の予測・予知(気象庁)、災害時の施設点検・応急復旧等の対応(施設管理関係局)、海上に関係する災害(高潮、津波等)に対する被害状況調査や救助活動(海上保安庁)等を行うことが義務づけられるとともに、これらの対策を円滑に実施するため省として災害対策本部の設置、職員の非常参集等がなされている。

2)国土交通省防災センターの設立
 大規模災害発生時の災害対策を円滑に進めるためには、災害情報を一元的に集約できる情報システムを備え、迅速な災害対策、住民・報道機関への広報などを行うことができる拠点が必要である。このため平成13年6月に災害対策の活動拠点となる国土交通省防災センターを中央合同庁舎2号館に開設し、防災情報の収集、リアルタイムの被害状況把握、被害の予測等の機能を通じて、省としての防災体制の強化を図っている。

3) 災害に備えた情報通信システム・機械等の整備
 平常時より、本省、内部部局、地方支分部局、事務所、災害現場、関係機関(内閣府、都道府県、関係公団等)の間で耐災害性に優れた多重無線通信回線を利用したシームレスな情報通信を行っている。また、現地情報収集用ヘリコプター、ヘリコプター画像伝送システム、衛星通信車、移動通信システム等を整備し、災害発生時の情報収集の迅速化を図っている。さらに排水ポンプ車、照明車、無人化施工建設機械などの災害対策用機械を整備している。

4)危機管理トレーニング
 災害時には、刻々と変化する事象に応じ、トップ・スタッフは迅速かつ適切な判断と行動が求められる。このため、災害対応を擬似体験し、災害対策要員として災害にどう対応していくかを習得できるロールプレイング方式による実践的危機管理訓練を積極的に導入する。

5)海上での初動体制の整備
 海上保安庁では、油流出事故等の海上災害や地震等の自然災害に備え、24時間の当直体制をとるとともに、流出油防除資機材災害対応能力を強化した巡視船艇・航空機の整備や訓練の充実等に努めている。また、災害発生時には巡視船艇・航空機による被害状況調査や救助活動等を迅速かつ適確に実施するとともに、対策本部の設置等の災害応急対策を確保することとしている。
 さらに、災害応急対策に資する沿岸海域環境保全情報の整備を進めており、油拡散状況・漂流予測結果を電子海図の情報等とともにディスプレイ上に表示できるシステム(沿岸域情報管理システム)、ヘリコプター撮影画像伝送システムの整備を行っている。
 地方整備局では、14年8月に国内3番目の大型浚渫兼油回収船「白山」を新潟港に配備する予定であり、外洋での流出油防除体制の強化を図っている。

 

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