(2)自動車安全対策

1)事業用自動車の安全対策
 事業用自動車の交通事故件数は、年間約66,000件で、近年上昇傾向にあり、事業用自動車に係る交通事故防止は緊急の課題となっている。特に平成11年11月東名高速道路において事業用自動車が追突し、幼児2名が焼死するという悲惨な事故が発生した。このような事故は社会的影響の大きいものであり、看過できるものではない。

図表II-6-18 事故多発地点における死亡事故件数の推移
図表II-6-18 事故多発地点における死亡事故件数の推移


 このため、13年7月に貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正を行い、9月から施行した。また、13年7月及び8月に旅客自動車運送事業運輸規則の改正を行い、14年2月から施行することとした。

図表II-6-19 事業用自動車の業種別交通事故件数の推移
図表II-6-19 事業用自動車の業種別交通事故件数の推移



 これにより、
(ア)旅客自動車運送事業に対する運行管理者試験の導入及び運行管理者配置基準の強化
(イ)事故を惹起した運行管理者等に対する特別な研修の受講義務づけ
(ウ)事故を惹起した運転者等に対する特別な指導及び適性診断の受診の義務づけ
等を実施することとした。この改正によって、運行管理の充実、運転者に対する安全対策の強化等を図り、運送事業者による運行の安全を確保することとしている。
 また、大型貨物自動車の高速道路における速度超過時の事故の防止を図るため、13年8月に道路運送車両の保安基準を改正し、15年9月から、速度が90キロメートル毎時に至ったときに運転者がアクセル操作を行っても加速できない構造の速度抑制装置の装備を義務づけることとしている。

2)交通弱者対策
 歩行者が死亡する事故は、全死亡事故の約3割を占めている。また、近年、自動車の死角に幼児等が入り自動車に轢かれてしまう悲惨な事故も発生している。
 こういった観点から、13年6月の自動車安全シンポジウムにおいて、世界で初めて導入される、(ア)RV車による死角事故を防止する基準、(イ)歩行者の頭部の傷害を防止する基準など、今後2年以内に制定を予定している6項目の自動車安全基準を発表した。

3)リコール制度
 12年7月、三菱自動車工業(株)のクレーム隠し等が判明したため、フリーダイヤルによる不具合情報受付窓口を設置する等欠陥車情報収集の充実、欠陥車情報分析及びメーカー等への指導監督等の充実強化を推進している。13年上半期のリコール届出件数は、89件(前年同期比で9.8%増加)と増加した。

4)自動車アセスメント
 自動車アセスメントとは、市販されている自動車の安全性能について試験による評価を行い、公表するものである。
 13年度からは、安全なチャイルドシートを選択できるようにして欲しいとのユーザーからの要望を受け、チャイルドシートについても安全性能試験を行い、評価を実施している。

図表II-6-20 自動車アセスメントによる効果
図表II-6-20 自動車アセスメントによる効果



 

テキスト形式のファイルは こちら

前の項目に戻る      次の項目に進む