(1)公共交通機関等のバリアフリー化

1)交通バリアフリー法
 平成12年11月、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上を促進することを目的とする交通バリアフリー法が施行された。

<交通バリアフリー法の概要>
1)交通事業者等が、旅客施設の新設・大改良及び車両等の新規導入に際して、移動円滑化基準へ適合させなければならない。
2)鉄道駅等の旅客施設を中心とした一定の地区において、市町村が作成する基本構想に即して、旅客施設、周辺の道路、駅前広場等の重点的・一体的なバリアフリー化を進める制度を導入する。

 また、同日、交通バリアフリー法に基づく基本方針を策定し、バリアフリー化の目標や交通事業者等が講ずべき措置、市町村が作成する基本構想の指針、バリアフリー化のために国及び地方公共団体が講ずべき措置等を示している。
 これまでに、福岡県福間町、北海道室蘭市、広島県呉市において交通バリアフリー法に基づく基本構想が作成されており、その他545の市町村においても基本構想の作成を予定している(13年9月25日現在)。

図表II-7-2 基本方針に掲げられたバリアフリー化の目標
図表II-7-2 基本方針に掲げられたバリアフリー化の目標



図表II-7-3 交通バリアフリー法の効果
図表II-7-3 交通バリアフリー法の効果

2)ガイドライン等の策定
 バリアフリー化のモデル、望ましい内容を示すことで、交通事業者等がバリアフリー化を進める際の目安としてもらい、利用者にとってより望ましい公共交通機関のバリアフリー化が進むことが期待される。このため、旅客施設については、13年8月に「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」、車両等については、12年12月に「旅客船バリアフリー〜設計マニュアル〜」、13年3月に「公共交通機関の車両等に関するモデルデザイン」を策定した。
 また、13年10月には、鉄道関係者による自主的な取り組み方針として「鉄道における総合的なバリアフリー化の推進に関する行動計画(アクション・プラン)」を取りまとめた。
 今後、高齢者、身体障害者等の移動制約者をはじめすべての利用者にとって使いやすい旅客施設・車両等の整備が進むことが期待される。

図表II-7-4 移動円滑化整備ガイドライン 多機能トイレの例(標準的なプラン)
図表II-7-4 移動円滑化整備ガイドライン 多機能トイレの例(標準的なプラン)

3)施設の整備、車両等の導入に対する支援策
 鉄道駅、バス・旅客船ターミナル、空港におけるエレベーター・エスカレーター等バリアフリー施設の整備、ノンステップバス、低床式路面電車(LRT)等の車両の導入等に対して、補助や日本政策投資銀行による融資を講じている。また、鉄道駅におけるエレベーター・エスカレーター等バリアフリー施設の整備、ノンステップバス、リフト付タクシー、低床式路面電車(LRT)等の導入に対して、税制上の特例措置を講じている。

<駅のエレベーター>
駅のエレベーター

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む