(4)建設労働対策の推進

1)建設業就業者のセーフティネット構築
 建設投資の減少による今後3ヶ年での建設業就業者数の減少は、12年の約1割に相当する約60万人が見込まれるという試算がある(注) 。特に、これまで公共投資の追加により建設業が他産業からの雇用の受け皿となってきた地方部においては、離職者の増加、地域経済の停滞が懸念されている。
 このため、建設業におけるセーフティネットとして、建設業就業者の円滑な労働移動を促進する一方で、建設企業の新分野等への進出の支援による雇用確保・創出、優れた建設技能工等の確保・育成を図ることが喫緊の課題であり、13年9月には、官民を挙げて建設業の雇用対策等について検討・協議を行う建設業雇用問題協議会において、「当面の建設業雇用対策」を取りまとめ、これに基づく施策を推進している。

<「当面の建設業雇用対策」(平成13年9月19日)抜粋>

○建設業就業者のセーフティネット構築のために当面取り組むべき事項
 ・建設業就業者に対する公的部門による雇用創出
 ・新分野・新市場等における雇用確保・創出
 ・優れた建設技能工・技術者の確保・育成
 ・元請下請取引の適正化等
 ・労働移動の円滑化(労働需給のミスマッチの解消等)
 ・失業者対策(離職・失職者への支援措置の積極的活用等)
 ・推進体制の整備(建設業雇用問題地方連絡会議の活用等)

2)建設業における雇用労働条件改善
 建設業における雇用労働条件は、年間総労働時間、年間賃金総支給額等の指標をみると、全産業平均値に比していまだ立ち遅れている。これらの改善を図るため、13年3月に厚生労働大臣により告示された「第6次建設雇用改善計画」を厚生労働省と連携強化しながら推進している。

図表II-9-19 建設業における雇用労働条件
図表II-9-19 建設業における雇用労働条件



3)人材確保・育成
 建設業の人材対策を推進する全国的な組織として建設産業人材確保・育成推進協議会があり、建設産業への入職促進等のための全国的なキャンペーンを実施するとともに、各都道府県において、工業高校生等の現場見学会や現場実習によるインターンシップの推進、工業高校等進路指導教師等との懇談会を実施している。
 また、労働生産性の向上、優れた建設技能の若年者等への継承のため、基幹技能者の確保・育成が重要である。13年10月末現在、8職種9団体が基幹技能者に係る民間資格を整備し、合計10,605名を輩出している。
 このほか、建設産業の技能労働者の社会的評価向上を目的に、特に優秀な技能・技術を持ち若い技能者の指導・育成等に多大に貢献している現役の技能者を、「建設マスター」として国土交通大臣が毎年度顕彰している。これまでの被顕彰者は2,875名となっている。



(注)平成14年度公共投資関係費を1割(1.04兆円)削減した場合の(財)建設経済研究所の予測値。

 

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