1. 多国間交渉・フォーラムを通じた取組み

(1)WTO(世界貿易機関)への対応

 世界の多角的貿易体制を発展させるため発足したWTO(世界貿易機関)は、モノの分野の自由化だけでなく、交通・観光・建設関連サービスを含むサービス分野をも対象としている。サービスは農業とともに2000年からビルトインアジェンダ(交渉開始がすでに合意済の分野)として交渉が開始され、2001年3月に交渉の目的、原則、範囲、方式・手続を定めた「交渉の指針及び手続」が策定された。11月にはカタルの首都ドーハにおいて第4回閣僚会議が開催され、交渉期限を約3年間(2005年1月1日)とする新たな多角的貿易交渉を開始することが決定された。サービス分野についても新ラウンドの一環として位置づけられ、交渉の一層の進展が期待される。また、現在、WTOサービス貿易理事会にて各国から提出された交渉提案を検討中である。
 特に、海運サービスについては、過去に行われた自由化交渉が合意に至らず、サービス分野の中で唯一サービス貿易一般協定(GATS)の主要規定のほとんどが適用されていない状態である。世界貿易促進のためには自由かつ公正な海運市場の全世界的な形成が不可欠であり、我が国は海運交渉成功に向けて海運関心国会合を開催する等先導的な役割を果たしてきている。
 航空運送サービスについては、航空機の修理及び保守等の補助的なサービスを除き適用が除外されており、現在、サービス貿易理事会において協定の適用のさらなる可能性を検討することを目的として、レビュー会合が実施されている。
 なお、建設分野においては大幅な自由化を実施済みであり、サービス交渉を通じて各加盟国の建設市場の自由化が促進されることが期待される。
 また、公共事業を含む政府調達について手続きの透明性の確保と市場アクセスの拡大を図ることを目的とした政府調達協定(GPA)に加入しており、現在行われている協定見直しの議論にも積極的に参画している。
 国土交通省としては我が国の関連事業者が適切な事業活動を行えるよう、今後も積極的に様々な交渉に参画していく方針である。

 

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