第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(女性や高齢者の労働力率)

 我が国の女性の労働力率は諸外国と比較して低い水準にあり、特に子育て世代とされる20歳代後半から30歳代の労働力率が極端に低いM字型となっている。未婚女性の労働力率が高く、女性の離職理由としても結婚や出産によるものが多いことから、結婚や出産後も就業を続けるのが難しいことがその原因と考えられる。一方、女性の潜在的な労働力率はM字の底が上昇して主要国の形状に近づいており、条件が整えば女性の労働力率上昇の余地はあると考えられる。女性の就業が少子化を促進させることも心配されるが、諸外国等の例では、女性の有業率と出生率にはむしろプラスの相関が見られるとの分析もある。我が国では出産等により、就業の継続や希望する形での再就職が難しいことなどが少子化の大きな要因とも言われており、就業と出産や育児が両立できるようなシステムづくりが必要である。

 
図表I-2-3-3 女性の年齢階級別労働力率の国際比較と潜在的な労働力率

日本では、欧米諸国に比べ、25歳から54歳の労働力率が低く、特に35歳から39歳までは極端に低くなっているが、就業希望者を含めた潜在的労働力率は、欧米諸国並みの水準となっている。
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図表I-2-3-4 年齢階層別女性の離職理由

結婚、出産、育児のため離職する人は、15歳から24歳では40%、25歳から24歳では77.4%、35歳から44歳では67.3%、45歳から54歳では27.1%となっている。家事、介護、看護の為は、25歳から34歳では2.4%、35歳から44歳では4%、45歳から54歳では15.3%、55歳から64歳では15.8%、65歳以上では7.1%となっている。
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 また、高齢者の有業率は高い水準にあるが、非就業者でも就業を希望する者は多い。さらに、高齢の男性では肉体的にも就業可能と考えている者の割合が高い。このように、高齢者の身体や意識が従来のイメージとは違ってきており、高齢者の労働力率もある程度は上昇の余地がある。経済のソフト化の進展等に伴い、今後ますます高齢者の豊富な知識技能や女性の能力を活かせる場が増加する一方、勤務時間の弾力化や勤務場所、勤務形態の多様化が進むものと見込まれる。

 
図表I-2-3-5 肉体面からみた就業可能性

就業可能と考えると答えた人は、男性では、55歳から59歳は96.7%、60歳から64歳は92.4%、65歳から69歳は81.3%となっている。女性では、55歳から59歳は87.3%、60歳から64歳は74.2%、65歳から69歳は57.4%となっている。
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