第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(設備投資への制約)

 我が国では、かつて主に家計が貯蓄した資金を企業が借り入れて投資に活用されてきた。近年、設備投資の抑制等により、この傾向に変化が見られるものの、高齢化の進展に伴って家計貯蓄率が低下することにより資金の需給バランスが圧迫されれば、金利の上昇等を通じて企業の借入れによる設備投資の低下要因になるものと考えられる。新規投資が縮小すれば、生産性の向上や技術革新等が遅れることにより、経済成長の制約要因となる。

 
図表I-2-3-15 民間資本ストックと新規投資額の推移

資本ストックは1990年度で約700兆円、95年度で約928兆円、2000年度で約1100兆円となり、段階的に上昇しているのに対し、新規投資額は、1990年度で約84兆円、2000年度において約81兆円となるなど伸び悩んでいる。
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 また、従来は我が国の豊富な貯蓄が国内における設備投資に活かされてきたが、近年、収益性を求めて海外の金融資産に投資される傾向も強くなっている。このような中で必要な設備投資資金を確保するためには、より収益性の高い設備投資が求められることとなる。このため、新規投資については真に生産性向上に資する効果的なものに絞り込まれていく可能性が大きく、特に生産性を向上させる新規技術開発への期待は高い。

 

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