第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

第4節 社会資本整備、公共交通への影響

1.社会資本整備に対する影響

(社会資本への需要の変化)

 人口構造の変化は、社会資本に対する需要を変化させる大きな要因ではあるが、過去の実績を見ると、内外の経済動向やライフスタイルの変化等にも大きく影響されているものと考えられる。例えば、交通関係社会資本の利用は、経済活動や交流活動の拡大等により、人口やGDPの伸びを超えて増加してきている。

 
図表I-2-4-1 人口等の動向と交通機関輸送量等の推移(1980年=100)

1980年を100とした指数で見ると、それぞれの1999年の指数は、人口は108.2、GDPは167.9であるのに対し、新幹線輸送人員は220.8、高速道路走行台キロは304.2、国際航空旅客数は403.0と、人口やGDPの伸びを大きく超えて増加している。
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 社会資本整備は長期的視点に立って計画的かつ着実に行われるべきものであるが、長期的に人口が減少する中で今後も従来と同様の需要の動きが続くことを当然の前提とすることは適当でない。将来の需要予測については、人口が減少し、経済成長も低いという新たな状況に対応した一層の精度向上が求められる。
 社会資本に関する需要予測としては、例えば自動車交通量については、免許保有人口や乗用車保有台数の増加等により、人口が減少に転じた後もしばらくは増加するが、長期的には人口減少等の影響により2020年をピークに減少するものと予測している。港湾取扱貨物量や航空輸送量は、人口よりもむしろ海外を含めた経済動向等との相関が強く、外貿貨物や航空輸送は我が国のGDPの伸びを上回って増加するものの、長期的には伸びが低下するものと見込んでいる。

 
図表I-2-4-2 交通関係社会資本の需要予測

自動車走行台キロは、全体で2000年の7660億台キロから、2020年に8680億台キロとピークをむかえるが、その後は緩やかに減少し、2050年には8010億台キロと予測される。港湾取扱貨物量は、総貨物で2007年まで年平均増加率1.0%で増加すると予測される。2012年までの参考値では、年平均増加率0.8%と、伸びが低下すると予測される。国際・国内航空輸送量は、2012年までは大きな伸びが予測されているが、2022までの参考値では、伸びが低下すると予測される。
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