第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(時間管理概念の徹底)

 今後、比較的短期間に人口構造が大きく変化することが予測される中で、国民から必要とされる社会資本の整備が適切な時期に実施されることがますます強く求められる。
 このため、「完了期間宣言」的手法の活用など一定期間後の姿が目に見える採択・進行管理の実施や、需要の変化や財政的な実現可能性に配慮した事業の段階的な実施など、社会資本整備における時間管理概念の徹底を図っていくことが重要である。

 
図表I-3-1-5 各事業における時間管理概念の考え方

時間管理概念を採用している事業としては、街路事業、道路事業、下水道事業、都市公園事業、市街地再開発事業及び土地区画整理事業、河川事業、砂防関係事業、海岸事業、港湾整備事業があげられる。街路事業では、残りわずかな用地買収が事業進捗のあい路となっている路線等を、一定期間内に完了させる完了期間宣言路線として公表し、重点的に実施する。道路事業では、投資効果が高いプロジェクト等から5年後の姿が見えるプロジェクトを抽出して、供用目標等を提示したうえで、毎年の事業の進捗管理を徹底する。下水道事業では、重要水域での水質保全、合流式下水道の改善等重要な政策課題を達成するため、5年間の事業の到達点を含めた事業計画を策定した地方公共団体に重点投資し、新規箇所は原則として5年以内に一部供用開始する箇所のみを採択する。都市公園事業では、国家的事業関連公園、防災公園、自然再生緑地等、国が定める政策課題に対応して5年間で発現させる効果等、事業計画を定めた地方公共団体に重点投資する。市街地再開発事業及び土地区画整理事業では、都市計画決定済み又は決定が確実なことを採択基準とするとともに、権利変換計画認可前・仮換地指定前の調査設計計画に対する補助を原則採択後5年間に限定する。河川事業では、治水上の緊急性・必要性が高く、整備効果が大きい区間等を新たに設定、公表し直轄事業は概ね10年以内、補助事業は概ね5年以内の完了を目標に重点投資を実施する。砂防関係事業では、自力避難が困難な災害弱者が24時間入居又は入院している施設のうち、特に土砂災害のおそれの高い箇所を特定、公表し補助事業を概ね5年以内に完了することを目標に重点投資を実施する。海岸事業では、高潮・浸食被害の特に著しい区間を中心に緊急に整備すべき区間を設定、公表し直轄事業は概ね10年以内、補助事業は概ね5年以内の完了を目標に重点投資を実施する。港湾整備事業では、事業採択時に事業期間を明示し、概ね5年以内の事業効果発現を目標に投資を重点化し、また、地域が策定した「みなとまちづくりプラン(仮称)」に基づき実施する事業を概ね5年間で完了できるよう投資を重点化する。
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