第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(居住・生活環境のバリアフリー化)

 高齢化が急速に進展する中で、生活の基本となる住宅や利用頻度の高い建築物等におけるバリアフリー化のニーズはかなり高まると予想される。
 このため、高齢者等の自立や介護に配慮したバリアフリー住宅の建設、購入、バリアフリー化のための改良について支援を行っているほか、公共賃貸住宅についてはバリアフリー住宅を標準仕様とし、高齢者の入居要件を緩和するなど、その普及を図っている。
 劇場、百貨店、ホテル等の不特定多数の人が利用する建築物については、「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」に基づき、建築主にバリアフリー化の努力義務を課すとともに、その整備について一定の支援措置を講じており、その結果、指示対象となる新設建築物の約7割においてバリアフリー対応が図られている。さらに、平成14年の同法改正により、対象建築物を多数の者が利用する学校、共同住宅等に拡大し、そのうち一定の建築物の建築等について基準への適合を義務付けるとともに、支援措置を拡大することとした。
 また、市街地における高齢者等に配慮した建築物と動く通路、エレベーター等の移動システムの一体的整備や、官庁施設のバリアフリー化を推進している。都市公園、河川や港湾緑地といったやすらぎ、うるおいの空間においても、誰もが利用しやすいように配慮した施設の整備を行うなどバリアフリー化を推進しているほか、福祉施設と一体となった公園の整備等も行っている。このほか、これまで交通施設、観光施設、商業施設等でばらばらに使用されてきた案内図記号についても標準化を図ったことにより、視力の衰えた高齢者等すべての人にとってわかりやすい案内情報の提供が期待される。

 
図表I-3-2-3 ハートビル法の概要

建築物の新設、増設、改築等を行う際に、建築主に対して、バリアフリー化の義務及び努力義務の基準を設定している。建築主はそれらの基準に満たしていると認定を受けた場合、税制上の特例措置等の支援措置を受けることができる。
 
図表I-3-2-4 年齢層別家庭内事故死亡者における転倒・転落による死亡者の割合(平成13年)

44歳までは5%以下であるのに対し、45歳から64歳までは19%、65歳以上では35%以上となっている。
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図表I-3-2-5 年齢層高齢者の外出状況

60歳から64歳では、ほとんど毎日が62.6%、時々が32.7%、65歳から69歳では、ほとんど毎日が52.7%、時々が41.2%、70歳から74歳では、ほとんど毎日が48.8%、時々が42.8%、75歳以上では、ほとんど毎日が35.5%、時々が48.4%となっている。
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