第II部 国土交通行政の動向 

2.コスト構造改革

(1)公共工事の総合的なコスト縮減

 公共工事コスト縮減対策については、「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」(平成9年4月)に基づき、平成9年度から11年度の3年間、各省庁が協力して施策を推進し、一定の成果を得てきた。
 しかしながら、厳しい財政事情の下で引き続き社会資本整備を着実に進めることが要請されており、また、これまでのコスト縮減施策の定着や新たなコスト縮減施策の推進が重要な課題となっている。このため、これまでの取組みにおける課題も踏まえ、平成12年9月に、公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議において、政府の新たな「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」(「新行動指針」)が策定された。国土交通省においては、新行動指針を踏まえて旧北海道開発庁、旧運輸省及び旧建設省において策定した新行動計画を統合し、13年3月に国土交通省におけるコスト縮減のための具体的施策を盛り込んだ「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」(「新行動計画」)を策定した。
 新行動計画は、政府新行動指針の内容を包括し、より具体的な形で作成しており、1)工事コストの低減に加え、2)工事の時間的コストの低減、3)ライフサイクルコストの低減(施設の品質向上)、4)工事における社会的コストの低減、5)工事の効率性向上による長期的コストの低減を基本的視点として、総合的なコスト縮減に取り組むこととしている。
 これらの取組みのうち、電子入札を1年前倒しし、平成15年度から全直轄事業の約4万件で実施するとともに、工事の平準化の促進、新技術活用の促進等に重点的に取り組んでいるところであり、その結果、13年度の工事コストの縮減率は、8年度に比べ、11.7%となっている。また、卸売物価、労務費等の下落を考慮すると18.4%となっている。
 さらに、より一層のコスト縮減を図るため、今後、次の項目について重点的に取り組むこととしている。

(ア)コスト縮減の新たな展開
 予備設計・基本設計の段階から、広く設計提案を受け付け、専門家集団による評価委員会において評価することにより、固定概念にとらわれない設計者の発想を活かした徹底的なコスト縮減を実現する。また、短い間隔で出来高に応じた部分払いや設計変更協議を実施することにより、受発注者相互のコスト意識の向上や円滑かつ速やかな工事代金の流通を確保する出来高部分払い方式を導入する。

(イ)多様な入札・契約方式の積極的活用等品質確保方策の強化
 公共工事の適正な品質の確保と総合的なコスト縮減を図るため、総合評価落札方式、設計・施工一括発注方式等の積極的活用や、様々な発注者の適切な企業選定を可能とする工事成績等を共通の尺度で評価した企業データベースの構築等により、技術力による競争を促進する。

(ウ)業務プロセスの改革
 公共事業プロセスにおいて、IT活用による最大限の効率化を図るため、CALS/ECの取組みの一環として、電子入札や電子納品、情報化施工等の推進によりIT環境を構築するとともに、監督・検査基準類の見直しなど、業務形態の変革を積極的に実施する。

 

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