第II部 国土交通行政の動向 

(2)公共事業コスト構造改革の推進

 これまでのコスト縮減施策では限界があるため、平成14年8月29日の経済財政諮問会議における「制度・政策改革集中審議」において、1)事業のスピードアップ、2)設計の最適化、3)調達の最適化を見直しのポイントとして、コストの観点から公共事業の全てのプロセスを見直す「公共事業コスト構造改革」について報告した。さらに、同年12月には、従来からの工事コストの縮減に加えて(イ)規格の見直しによるコストの縮減、(ロ)事業のスピードアップが図られることによる便益の早期発現、(ハ)将来の維持管理費の縮減の3項目を含む「総合コスト縮減率」を設定し、社会資本整備重点計画との整合を図り、15年度からの5年間を目標期間とし、14年度と比較して15%の総合コスト縮減率を達成することとした。

1)事業のスピードアップ
 構想段階からのPIプロセス等合意形成手法の改善、事業の重点化・集中化、用地取得の円滑化等を図ることにより、事業のスピードアップを推進する。
 特に時間管理概念を導入し、道路や港湾の整備にあたって供用目標を公表したうえで事業を実施するとともに、新たに河川事業等において改修効果が際だって高い重点区間について、概ね10年間で完了させるプロジェクト等に重点的に投資することとしている。
 また、用地取得の円滑化のため、地籍調査の促進、土地収用手続の積極的活用、生活再建対策の推進等を図る。

2)設計の最適化
 地域に応じた構造基準の見直し(ローカルルールの導入)、設計の総点検、技術提案の積極的活用、技術開発の促進等により計画、設計を見直すと共に、管理の効率化等を図ることにより、設計の最適化を推進する。
 ローカルルールの導入としては、高規格幹線道路における追越区間付き2車線構造の導入、1.5車線的道路整備など、地域の交通特性を活かし、コスト縮減及び整備効果の早期発現を図るため、地域に応じた道路構造の基準の見直し等を行っている。

3)調達の最適化
 積算等の見直しや発注単位の適正化、入札・契約の見直しを図ることにより、調達の最適化を推進する。
 「積み上げ方式」から歩掛を用いない「施工単価方式」への積算体系の転換・導入を検討するほか、国庫債務負担行為の活用、発注者責任の明確化(品質確保責任等)、民間の技術力を結集する調達方式の推進、電子調達の推進等に取り組む。

 

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