第II部 国土交通行政の動向 

3.防災上危険な密集市街地の改善

 防災上、居住環境上の課題を抱えている木造密集市街地については、その早急な整備改善が喫緊の課題となっている。
 平成13年12月には、都市再生本部において「密集市街地の緊急整備」が都市再生プロジェクト第三次決定として位置付けられた。この中で、特に大火の可能性が高い危険な密集市街地を対象に重点整備し、今後10年間で最低限の安全性を確保することとし、未整備都市計画道路と沿道市街地等の整備を行うことによるオープンスペース機能を持つ骨格軸の形成、従前居住者対策、専門家・まちづくり組織の活用、民間活力を発揮できる制度の導入等の方針が示されている。
 また、平成13年3月に閣議決定された第八期住宅建設五箇年計画においても「緊急に改善すべき密集住宅市街地の基準」が規定され、その速やかな解消に努める旨位置付けられている。
 さらに、平成14年2月に社会資本整備審議会都市計画分科会が行った中間とりまとめにおいても、住民主体の防災まちづくりの推進、公共による重点的整備と民間活力活用による防災性向上の促進等、今後の木造密集市街地の改善の基本的方向が示されている。
 このような状況を踏まえ、現在までに、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」等に基づく都市の面的整備や段階的整備による木造密集市街地の解消に努めるとともに、災害時の延焼拡大防止、避難・消防・救援活動等に寄与する道路、公園等の根幹的な公共施設や沿道市街地を緊急に整備し、震災に強い都市構造の形成を図ってきたところである。

 
図表II-2-3-5 木造密集市街地の分布状況(東京都)

東京都内の木造密集市街地の分布状況をみてみると、23区のうち千代田区、中央区、港区、江東区を除く19区と三鷹市にかけて広く分布している。このうち、大田区、品川区、目黒区、中野区、豊島区、北区、荒川区等を中心に、早急に整備すべき市街地が分布している。

 特に、地区特性に応じた木造密集市街地の整備に向けて、下表の事業等を実施している。

 
図表II-2-3-6 木造密集市街地対策に関わる事業

木造密集市街地対策に関わる事業として、密集住宅市街地促進事業、住宅地区改良事業、都市防災総合推進事業、密集市街地における土地区画整理事業、市街地再開発事業がある。平成14年度では、密集住宅市街地整備促進事業は大阪府寝屋川市の萱島東地区等約170地区、住宅地区改良事業は東京都板橋区の大谷口上町東地区等約30地区、都市防災総合推進事業は東京都大田区の環状7号線大田地区等約50地区、土地区画整理事業は大阪府門真市の石原東・幸福北地区等約30地区、市街地再開発事業は東京都墨田区の曳舟駅前地区等約15地区実施している。
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