第II部 国土交通行政の動向 

3.ヒートアイランド対策

 近年、都市部において、コンクリート等による地表面被覆の増加と緑地の減少とともに、空調機器等の人工排熱が増加することにより、周辺部に比較して顕著な高温化の現象がみられる「ヒートアイランド現象」が進んでおり、都市の環境問題の一つとして大きくクローズアップされている。

 
図表II-2-4-6 東京(大手町)の年平均気温の経年変化(5年移動平均)

1900年から2000年までの東京大手町の年平均気温の経年変化をみてみると、1900年には約14度であった気温が、細かな上下変動はありつつも傾向としては緩やかに右肩上がりに上昇し、2000年には約17度にまで達している。
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 こうした状況から、国土交通省では平成14年8月、「国土交通省ヒートアイランド対策連絡会議」を設置し、ヒートアイランド現象の解消に必要な観測・調査・分析、まちづくりや緑地整備等の具体的事業、税制等の誘導措置まで、所管する幅広い分野の施策を、相互に連携してより効率的かつ総合的に推進するための検討を進めている。また、同年9月には、内閣官房都市再生本部事務局、経済産業省、環境省とともに「ヒートアイランド対策関係府省会議」を設置し、政府内のより一層の連携・協力を推進している。
 今後、国土交通省として以下の施策を重点的に推進していくこととしている。
・気象データの分析、都市気候モデルの活用による実態の解明及び土地利用形態の変更等に伴う気候変化に関する数値実験を実施
・借地公園の整備、民有地での屋上・壁面緑化等、市街地における緑とオープンスペースの機動的確保
・水面積の拡大や雨水の貯留・浸透、下水処理水の路面散水、循環水の活用による都市廃熱の区域外処理システムの検討等の実施
・政策金融や環境共生住宅市街地モデル事業等による住宅・建築物における対策 の推進
・大都市における自然環境の保全を図るため、広域的視点に基づく水と緑のネットワークの形成を推進

 
図表II-2-4-7 ヒートアイランド対策

都市のヒートアイランド現象を解消するため、気象データの分析やヒートアイランド予測モデルの作成等の調査・研究から、緑とオープンスペースの機動的確保や水の蒸発散機能の活用などの具体的事業、また、モデル事業等による誘導施策や実験プロジェクトを行い、広域的な水と緑のネットワークの形成や東京,大阪等での関連瀬策の集中実施を行う。

 

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