第II部 国土交通行政の動向 

(2)スーパー中枢港湾の育成

 中枢・中核国際港湾の整備等、国際競争力強化施策の展開により、我が国の国際コンテナ港湾のメインポート機能の維持に一定の効果は見られるが、近隣アジア主要港の近年の躍進によって、我が国の国際コンテナ港湾の相対的な地位は依然低下しており、我が国の経済活性化に必要な産業競争力の回復等のため、経済活動を根底から支える港湾の国際競争力の重点的な強化が喫緊の課題となっている。

 
図表II-5-5-5 我が国港湾の国際競争力の低下 国際トランシップ貨物を巡る日本の地盤沈下と韓国の興隆 〜北米向け貨物〜

日本のトランシップ貨物量は97年以降徐々に減少傾向にあるが、それに対し、韓国は、97年以降増加傾向にあり、特に2001年には急増している。
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 こういった状況に鑑み、国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会港湾分科会が平成14年7月12日に取りまとめた「経済社会の変化に対応し、国際競争力の強化、産業の再生、循環型社会の構築などを通じてより良い暮らしを実現する港湾政策のあり方(中間報告)」において、スーパー中枢港湾の育成が提案された。スーパー中枢港湾は、実験的、先導的な施策の展開を官・民連携の下で行うことによりアジア主要港湾を凌ぐコスト・サービスの実現を図ろうとするものであり、具体的には次世代高規格コンテナターミナルにおいて、港湾コストは現状より約3割低減、リードタイム(コンテナ船の接岸、荷卸から、荷主による引取りが可能となるまでの時間)を現状3〜4日から1日程度まで短縮させることを目標とするものである。
 これを受けて、スーパー中枢港湾の育成に向け、その指定を行うことになるが、指定の結果、官民一体となった選択的、集中的な施策の展開により、民間ターミナルオペレーターによる創意工夫を生かした市場開拓型のコンテナターミナルを育成する場が形成されることになる。この指定手続きを透明かつ客観的に行うため、平成14年10月、選定委員会を開催し、同年12月には、本委員会において検討された1)スーパー中枢港湾のあり方、2)指定の基準を提示しスーパー中枢港湾候補の公募を開始した。今後、応募のあった港湾管理者の、スーパー中枢港湾育成に向けた取組みの評価等について検討を進めることとしている。

 
図表II-5-5-6 スーパー中枢港湾

スーパー中枢港湾は、アジア主要港湾を凌ぐコスト・サービスの実現を図ろうとするものであり、具体的には次世代高規格コンテナターミナルにおおいて、港湾コストは現状より約3割低減し、リードタイムは現状3〜4日をシンガポール港並みの1日程度まで短縮することを目標としている。

 

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