第II部 国土交通行政の動向 

(6)内航海運の動向と活性化策

1)輸送の動向
 内航海運の輸送動向を見ると、平成10年度以降13年度まで堅調に推移している。

 
図表II-5-6-8 内航海運輸送量

内航海運輸送量は、平成8年で約2,400億トンキロ、平成10年で約2,270億トンキロ、平成13年で約2,450億トンキロと推移している。
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2)暫定措置事業の円滑な実施
 内航海運の活性化を図るため、スクラップ・アンド・ビルド方式による船腹調整事業を解消し、保有船舶を解撤等した者に対して一定の交付金を交付するとともに船舶建造者から納付金を納付させる等を内容とする暫定措置事業を導入している。同事業は、競争制限的との批判が強かった船腹調整事業の解消により、船腹需給の適正化と競争的市場環境の整備を図るとともに、事実上の経済的価値を有していた引当資格が無価値化する経済的影響を考慮したソフトランディング策として実施している。これにより、事業意欲のある事業者においては、市場原理と自己責任の下、より自由な船舶の建造が可能となった。
 また、高度で安全な内航輸送システムを構築するため、平成15年4月以降は船齢15年を超える船舶は交付金の対象としないこと(シンデレラ・プロジェクト)としている。このシンデレラ・プロジェクトの実施のため、13年度補正予算及び14年度予算において資金枠及び政府保証枠の拡充が行われている。

3)次世代内航海運ビジョンの策定
 内航海運を取り巻く環境は、国内景気の停滞、荷主企業の相次ぐ合併・事業提携による物流効率化の要請の高まり、地球的規模での環境保全の取組みの強化等大きく変化してきている。このような、産業構造、輸送環境の変化に柔軟に対応し、健全かつ自由な競争を通じた効率的で安全かつ環境に優しい輸送サービスを安定的に提供していくため、海運、船舶、船員の海事分野全般にわたる「次世代内航海運ビジョン」を14年4月にとりまとめ、現在、本ビジョンで提示された施策の具体的制度設計に取り組んでいるところである。

 
図表II-5-6-9 次世代内航海運ビジョン

内航海運を巡る環境変化に柔軟に対応し、健全かつ自由な競争を通じた効率的で完全かつ環境にやさしい輸送サービスを安定的に提供していくため、海運、船舶、船員の海事分野全般にわたる次世代内航海運ビジョンを取りまとめた。

 

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