(7)航空事業の動向
1)航空輸送の動向
運賃低下による需要誘発効果もあって、国内旅客輸送量は順調に上昇しており、なかでも幹線旅客の伸びが大きくなっている。特に、平成12年7月に運航を開始した東京-大阪間のシャトル便については、12年度に引き続き、13年度も好調であった。一方、国内航空貨物輸送は景気の低迷等を反映して13年度は、大幅な落ち込みを見せた。また、国際旅客・貨物輸送は、13年9月の米国同時多発テロ事件により、米国路線を中心として、大幅な落ち込みを見せたところである。
図表II-5-6-10 国内航空旅客数の推移
2)国内航空分野における競争促進策
国土交通省は、これまで国内航空運送事業について需給調整規制の撤廃、運賃の事前届出制への移行等の規制緩和を実施するとともに、航空輸送サービスを提供する上で基盤となる混雑飛行場における発着枠の配分に当たっては、新規航空会社を優遇する措置をとってきた。これによって、新規航空会社の参入等を通じて、主要路線における運賃の低下等、目に見える形で多くの利用者に競争促進の効果が及んでいるところである。
一方で、平成14年6月のエアドゥによる民事再生手続きの申立て、同年8月の新規航空会社であるスカイネットアジア航空の運航開始等、新規航空会社において新たな動きがあったほか、既存航空会社においても同年10月に日本航空と日本エアシステムが経営統合を行うなど、我が国航空市場は、新たな局面を迎えている。
国土交通省では、14年4月に「国内航空分野における競争促進策の強化について」を、同年9月には、「我が国航空市場競争環境整備プログラム」を発表し、新規航空会社に対する羽田空港発着枠の優先配分、空港施設の利用条件の均等化等を通じて、我が国航空市場における競争環境をさらに整備することにより、新規航空会社の参入等による利用者利便の一層の向上を図ることとした。
3)米国における同時多発テロの影響と政府による支援策
米国同時多発テロ事件は、航空輸送量の減少による収入減や航空保安体制の強化による費用増加等により航空会社の経営に大きな影響を与え、大手3社の13年度決算では、昨年より約1,700億円の減収となった。
このような中、日本国政府としては、13年10月以降閣議決定により、テロ等による第三者への損害が発生した場合に20億米ドルを限度として賠償金の支払いが可能となるよう、適切な措置を講ずることとしてきているところである。