第II部 国土交通行政の動向 

(2)企業評価のあり方、不良・不適格業者の排除

1)公共事業における企業評価
 公共事業全体に対する国民の信頼回復のためにも、入札・契約制度の改善、企業評価のあり方の見直し等を通じた公正な競争の促進、不良・不適格業者の排除の徹底が緊急の課題であり、平成13年4月には入札契約適正化法が施行され、各発注者が取り組むべきガイドラインである適正化指針も閣議決定された。
 また、経営事項審査を中核とする企業評価制度については、最近、1)規模の競争ではなく技術力・質による競争を促す、2)建設業者の経営状況を一層的確に反映させる、等の観点から改正を行ってきた。
 さらに、平成12年7月より、企業評価を受ける側である建設業者と企業評価を行う側である発注者の双方を交えた意見交換会を設置し、経営事項審査のあり方を含め、建設業者による公正な競争の推進とそれを通じて健全な建設市場が整備されるよう検討しているところであり、特に、経営事項審査による企業評価においては、申請者による虚偽申請が指摘されており、企業評価の公正性や正確性を担保する観点から、虚偽申請の徹底的な排除に向けた施策についても議論しているところである。

2)不良・不適格業者の排除
 不良・不適格業者(注)を放置することは、適正な競争を妨げ、公共工事の品質確保、適正な費用による施工等の支障になるだけでなく、技術力・経営力を向上させようとする優良な建設業者の意欲を削ぎ、ひいては建設業の健全な発達を阻害することとなる。また、建設業許可や経営事項審査の申請に係る虚偽記載をはじめとする公共工事の入札・契約に関する様々な不正行為は、主としてこうした不良・不適格業者により引き起こされるものであることから、発注者支援データベースの活用、発注者による施工体制台帳や施工体系図に基づく技術者配置や下請状況等の確認等の取組みに加え、平成14年度からは、一括下請負等適切な施工が行い得ないおそれがあるものや技術者の専任違反のある事業者等、経営事項審査の申請に係る虚偽記載の疑いがある事案等について、建設業許可行政庁が直接工事現場や営業所等に立ち入り検査を実施するなど、建設業法違反への一層厳しい対応を行うことにより、不良・不適格業者の排除の徹底を図っている。

3)「丸投げ」の全面的禁止
 これまでは、一括下請負に該当する場合であっても、請負代金の額が適正に定められた元請負人と下請負人の間に不当な中間搾取がなく、下請契約の内容も適正であり、工事の適正な施工が保証されている場合は、特にこれを禁止する理由・実益がないため、発注者の書面による事前承諾がある場合は、一括下請負の禁止の例外としていた。しかしながら、公共工事においては、厳格な入札・契約手続きを踏んでいること等から一括下請負を認める必要性が全くないため、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に基づき、平成13年4月1日以降に契約される公共工事について、一括下請負が全面的に禁止されることとなった。



(注)一般的に、技術力、施工能力を全く有しないペーパーカンパニー、経営を暴力団が支配している企業、対象工事の規模や必要とされる技術力からみて適切な施工が行い得ない企業、過大受注により適切な施工が行えない企業等を指す。

 

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