第II部 国土交通行政の動向 

(4)建設労働対策の推進

1)建設業就業者のセーフティネット構築
 建設業就業者数は、平成14年は約618万人とピークであった9年の685万人から既に67万人減少しているが、今後も減少が続くという予測(注)もある。
 このため、官民を挙げて建設業の雇用対策等について検討・協議を行う建設業雇用問題協議会において取りまとめた、「当面の建設業雇用対策」の成果の活用を図るとともに、今後成長が期待されるリフォーム等の新分野への進出を促進するために必要な人材育成や建設業就業者の円滑な労働移動の促進について厚生労働省、建設業団体等と連携しながら積極的に推進している。

2)建設業における雇用労働条件改善
 建設業における雇用労働条件は、年間総労働時間、年間賃金総支給額等の指標をみると、全産業平均値に比して未だ立ち遅れている。これらの改善を図るため、平成13年3月に厚生労働大臣により告示された「第6次建設雇用改善計画」を厚生労働省と連携強化しながら推進している。

 
図表II-5-6-14 建設業等における指標に見る雇用労働条件

年間総労働時間と年間賃金総支給額という2つの指標を用いて建設業等をみるとする。平成13年年間総労働時間は、製造業で1,955時間、全産業で1,848時間であるのに対し、建設業では2,041時間となっている。また、平成13年年間賃金総支給額は、製造業で487万7千円、全産業で565万9千円であるのに対し、建設業では418万9千円となっている。
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3)人材確保・育成
 優秀な建設技能労働者の確保・育成は、良質な住宅・社会資本の整備のために不可欠であるが、建設業を取り巻く環境が大変厳しい中で、人材育成費用の削減や、教育訓練施設の休止・閉鎖もみられるなど、建設業における技能教育が困難に直面している。特に、建設業への優秀な若年労働者の入職減少が懸念されている。このため、建設業の人材対策を推進する全国的な組織である建設産業人材確保・育成推進協議会において、建設技能労働者の確保・育成に関する検討委員会を開催することとし、教育訓練施設の在り方及び建設技能労働のイメージアップ方策について、分科会を設けて検討を行っている。
 また、労働生産性の向上、優れた建設技能の若年者等への継承のため、基幹技能者の確保・育成が重要である。平成14年10月末現在、10職種12団体が基幹技能者に係る民間資格を整備し、合計12,546名を輩出している。
 このほか、建設産業の技能労働者の社会的評価向上を目的に、特に優秀な技能・技術を持ち若い技能者の指導・育成等に多大に貢献している現役の技能者を「建設マスター」として国土交通大臣が毎年度顕彰している。これまでの被顕彰者は3,376名(平成14年度現在)となっている。



(注)(財)建設経済研究所が発表した平成15年度の政府予算の公共投資関係費が横ばいの場合の予測

 

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