第II部 国土交通行政の動向 

5.造船業、舶用工業の課題と対策

(1)造船業の国際競争力強化のための取組み

 世界の造船市場は、1990年代後半に大型外航船の代替需要期を迎えたこと等により量的に市況を回復した。その後、平成13年9月の米国テロによる影響が多少生じたものの、その後は回復の兆しを見せており、13年の新造船建造量は2,867万総トンと高水準になった。
 日本の造船業は、高い技術力を背景に約45年間世界一の建造量を維持し、量・質ともに世界をリードしてきたが、近年における韓国の躍進、近い将来に予想される中国の台頭等に加え、2000年代央以降には外航船の代替の一巡による建造需要の減少が見込まれることから、今後はさらに厳しい国際競争にさらされるものと予想される。大手造船所の多くは、激化する国際競争に対応するため、14年秋〜15年春にかけ分社化あるいは統合を行い、経営・技術資源の集約化や弾力的運用等を図っている。
 このような状況の下、国土交通省では、14年6月に「造船産業競争戦略会議」を開催し、今後我が国が国際競争力を維持・強化していくための総合的な戦略づくりを行なっている。また、企業再編を円滑に実施させるため、産業再生特別措置法や新事業創出促進法等に基づく税制や金融等の支援制度の活用を促進している。
 さらに、熟練技能者が高齢化し、技術基盤の低下が懸念されている現況に鑑み、14年度より、技能伝承の方策や教育システムのあり方、高度技能のデジタル化による生産システムの高度化等の取組みを行っている。

 
図表II-5-6-16 世界の新造船建造量の推移

昭和50年以降、世界の新造船建造量の第1位のシェアを占めていた日本は、平成12年韓国に第1位の座を奪われたが、平成13年には、再び1位の座を奪い返し、40.8%のシェアを確保した。韓国は37%、西欧13%となっている。
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