第II部 国土交通行政の動向 

(3)自動車損害賠償保障制度の見直しによる被害者保護の充実

 自動車損害賠償保障制度は、自動車の事故による損害賠償の基本保障を担保する強制保険である自賠責保険、ひき逃げ及び無保険車による事故の被害者に対するてん補を行う政府の保障事業、保険料の運用益を活用した被害者救済対策事業等により交通事故被害者の保護に大きな役割を担ってきた。これまで、自賠責保険は、保険金支払適正化の観点から、国がその保険責任の6割を再保険(注)していたが、規制緩和の観点から政府再保険を廃止し、以下の新たな支払適正化の仕組みを整備することにより、被害者保護を充実することを内容とする「自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律」が平成14年4月から施行された。

 
図表II-6-3-3 被害者保護のための新たな仕組み

被害者保護のための新たな仕組みは、保険金支払適正化の観点から、保険会社等による被害者等に対する情報提供措置の義務付けや公正中立なで専門的な知見を有する第三者的紛争処理機関による新たな紛争処理の仕組みの整備などにより、保険金の適正な支払いの確保や保険金支払いをめぐる紛争処理の迅速かつ適正な解決による被害者保護の増進が図られるような仕組みとなっている。

 また、被害者保護を一層充実させるため、従来、いわゆる植物状態の被害者に支給してきた介護料について見直しを行い、常時又は随時の介護を要する重度後遺障害者に支給対象を拡大する制度改正を13年度から実施したところであり、さらに、14年度からこれらの被害者に対する保険金限度額の増額を行ったところである。

 
図表II-6-3-4 自賠責保険支払件数・支払額の推移

支払件数と支払額は平成3年以降、増加傾向にあり、平成12年では、支払件数122万件で支払額9,443億円となっている。
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(注)自賠責保険の6割を政府が請け負う(再保険する)ことにより保険会社の負担を軽減し、保険金の支払適正化を監督する。また、再保険料の運用益により、被害者保護を実施する。

 

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