第II部 国土交通行政の動向 

4.航空交通における安全対策

(1) 次世代航空保安システムの構築

 我が国の航空保安システムは、昭和46年の雫石事故を契機に近代化が始まり、航空交通の飛躍的な増大にも対応して全国規模で整備された。この結果、航空交通の安全性、効率性、経済性は飛躍的に向上している。
 しかし、新空港建設の進展、長距離飛行が可能な航空機の増便等により我が国を取り巻く状況は、航空交通の質・量とも大きく変貌している。一方で、現行のシステムは電波覆域・音声通信・レーダーシステム上の限界により洋上や本邦上空での航空交通量が限界に達している。
 このため、航空交通の安全確保を最優先としつつ、今後予想される航空交通の増大等のニーズに適切に対応できるように人工衛星やデータリンク等の新技術を活用し、我が国の航空交通の実態に適合した効率的な次世代航空保安システムの構築を推進している。
 具体的には、気象庁の気象観測機器を同時に搭載する運輸多目的衛星(MTSAT)として、平成15年度に新1号機を、16年度に新2号機を打ち上げ、航空管制の用に供し得るよう常時2機の衛星を配置する。また、地上の施設として、衛星との通信を行う航空衛星センターを常陸太田及び神戸に整備するとともに、17年度を目標年次として、航空交通流管理機能、新洋上管制機能及び空域管理機能を有する「ATMセンター(仮称)」を設置する。

 
図表II-6-3-8 次世代航空保安システム

運輸多目的衛星MTSATにより、管制間隔の大幅な短縮、自由な飛行ルートの設定、低高度、山岳部等の航空保安サービスの充実が図られる。

 

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