第II部 国土交通行政の動向 

(4)世界水フォーラムに向けた取組み

 発展途上国を中心とした世界各地で、水不足、水質汚濁、洪水等の水問題が深刻化しており、これらの水問題を解決していくことは21世紀の最も重要な問題の1つと認識されている。また、世界の水問題は、我が国の経済・社会に大きな影響を及ぼし、国際貢献の観点からも我が国が水問題に対して積極的に取り組むことが強く求められている。
 このため、日本政府は、2003年(平成15年)3月に京都市を中心とした滋賀県、京都府及び大阪府の琵琶湖・淀川流域において開催される第3回世界水フォーラムを支援するとともに、フォーラムと併せて「閣僚級国際会議」を開催し(平成13年3月閣議了解)、水問題の解決に向けた具体的な方針と決意を表明する閣僚宣言をとりまとめ、また、各国や国際機関の水分野における自発的な貢献策をまとめた水行動集を発表することとしている。
 なお、世界水フォーラムでは多数の分科会が開催されるが、国土交通省では、関係機関と連携を取りつつ、排水管理、洪水、土砂災害、流域管理、自然再生、文化、情報技術の活用などについて主導的な取組みを行っている。また、21世紀を担う世界の子どもたちが世界中の様々な水問題についてともに考え議論するための「世界子ども水フォーラム」が開催される。
 世界で頻発し社会的に重要な問題となっている洪水に関しては、国際機関・各国政府・研究機関の間で知識や経験を共有する枠組みとして、「国際洪水ネットワーク」を第3回世界水フォーラムにあわせて設立する予定である。また、世界各国の土砂災害に関する防災情報や災害情報の共有等を行うための「国際砂防情報ネットワーク」の設立も予定されている。
『世界水フォーラム』について
 「世界水フォーラム」は、世界の重大な水問題を討議するために世界水会議(1996年(平成8年)に関係国際機関や学会等により設立された水に関するシンクタンク)が主催する会議で、3年に1度、3月22日の「世界水の日」を含む時期に1週間程度開催されている。第1回世界水フォーラムは、モロッコのマラケシュで1997年(平成9年)に開催された。第2回は、2000年(平成12年)3月にオランダのハーグで開催され、世界各国から約5,700人の参加者を集め、21世紀における世界の水問題の解決に向けた方向性を提言した「世界水ビジョン」がとりまとめられた。

 

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