第II部 国土交通行政の動向 

第4節 多国間・二国間交渉等を通じた取組み

1.多国間交渉・フォーラムを通じた取組み

(1)WTO(世界貿易機関)への対応

 世界の多角的貿易体制を発展させるために発足したWTO(世界貿易機関)はモノの分野の自由化だけでなく、交通・観光・建設関連サービスを含むサービス分野をも対象としている。サービスは農業とともに2000年(平成12年)からビルトインアジェンダ(交渉開始がすでに合意済の分野)として交渉が開始され、2001年(平成13年)3月に交渉の目的、原則、範囲、方式・手続を定めた「交渉の指針及び手続」が策定された。同年11月にはカタールの首都ドーハにおいて第4回閣僚会議が開催され、交渉期限を約3年(2005年(平成17年)1月1日)とする新たな多角的貿易交渉を開始することが決定された。サービス分野についても新ラウンドの一環として位置付けられ、交渉の一層の進展が期待される。
 特に、海運サービスについては、世界貿易促進のためには自由かつ公正な海運市場の全世界的な形成が不可欠であり、我が国は海運交渉成功に向けて海運関心国会合を開催する等先導的な役割を果たしてきている。
 航空運送サービスについては、航空機の修理及び保守等の補助的なサービスを除きGATSの適用が除外されており、サービス貿易理事会において協定の適用のさらなる可能性を検討することを目的として、レビュー会合が実施されている。
 建設分野については、我が国は大幅な自由化を既に実施済みであるが、2001年(平成13年)より本格的に開始された新たなサービス交渉においては、各加盟国の建設市場の自由化の促進等を内容としたリクエストを2002年(平成14年)6月に提出した。また、公共事業を含む政府調達について手続きの透明性の確保と市場アクセスの拡大を図ることを目的とした政府調達協定(GPA)に加入しており、現在行われている協定の見直しの議論にも積極的に参画している。

 

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