第II部 国土交通行政の動向 

(2)APEC(アジア太平洋経済協力)への対応

 全世界のGDPの約6割、貿易額の約5割を占め、世界経済にとって極めて重要なアジア太平洋地域をカバーするAPECは1989年(平成元年)に開始されて以来「開かれた地域協力」を旗印に、貿易・投資の自由化及び円滑化と経済・技術協力の推進に向けて積極的な対話と行動を続けている。
 APECには分野別に11の作業部会(WG)が設けられているが、国土交通省では運輸及び観光WGを中心に積極的に取り組んでいる。特に運輸WGについては、各種専門家・プロジェクト会合において、我が国が議長を務める「海運イニシアティブ」では海運の自由化に関する活発な議論をリードして相互理解、WTO交渉の促進に努めており、また、同じく議長を務める「港湾専門家会議」では港湾投資等について港湾能力・効率性の向上を図るための共通課題の抽出及び行動計画の作成に大きく寄与している。
 また、2002年(平成14年)7月にメキシコのマンサニージョで第2回観光大臣会合が開催され、旅行者の安全確保、観光分野における投資の奨励等を新たな優先行動計画とすること等を内容とする「マンサニージョ宣言」を採択するなど、APEC域内の観光の振興について積極的に取り組んでいる。
 2002年(平成14年)10月には効果的な手荷物検査手続き及び器材の導入を通じた航空機の旅客の安全性の改善等の措置を盛り込んだ「テロリズムとの闘い及び成長の促進に関するAPEC首脳声明」を採択するなどAPEC域内の安全の確保に向けて保安に関する活動も活発となっている。

 

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