第I部 活き活きとした地域づくりと企業活動に向けた多彩な取組みと国土交通施策の展開 

2.企業の取組み

(1)オンリーワンの商品開発

【オリジナリティあふれる自社開発】
 現代の大量生産時代のなかで、それには飽き足らない人々(ユーザー)が増えてきており、A社では独創的な発想からユーザーが独自の車を所有したいという顧客ニーズに着目し、その潜在需要を掘り起こして市場化し、既存の量産メーカー車では表現することが難しいオリジナリティー溢れるデザインを有した車の開発・販売を行っている。
 特にマイクロカーシリーズ(現行法上のミニカー)は、昭和57年より製造販売(エンジンは他社製)を開始していたが、61年には販売数が激減したため、事業から撤退していた。しかし、平成8年には自動車メーカーとして「交通の毛細血管であるマイクロカーは絶対必要な乗り物である」との信念により、自動車メーカーとして、エンジン・シャーシ・ボディといった車の構成要素すべてを自社設計としたマイクロカーシリーズの開発に入った。また、環境を考慮し排ガスゼロであるEV車(電気自動車)の開発を行い、現在エンジン車とEV車両方で型式を取得しているメーカーとなっている。10年に販売開始してから、3,500台(EV車:550台)を世の中に送り出している。

 
<マイクロカーシリーズ>



【世界へ向けた新技術】
 蒸気タービンを主機関に使用しているLNG船は、効率を上げるために高真空の真空ポンプを必要とするが、地球温暖化により従来のポンプが十分な性能を発揮できなくなってきたことから、主機関用真空ポンプ分野において大きな市場占有率を有する企業が撤退した。中国地方の舶用品メーカーであるB社では、これを契機に、独自の技術開発により新たな超高真空ポンプを開発し、LNG船やタンカーなどのポンプ分野で海外も含めて市場占有率を伸ばすとともに、LNG船高効率化に貢献することとなった。
 環境の変化に対応するため、従来からの一般的な設計を見直し、同社のそれまでの経験を踏まえつつも、各部を新たに設計し、試運転で生じた出力オーバーなどの問題を随所の工夫により解決し、主機タービンメーカーの要求性能を満足するポンプを完成させ、受注に成功した。
 なお、低公害燃料として各国がLNG輸入量を増やしつつあり、その結果LNG船の建造量も増加傾向にある。

 

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