第I部 活き活きとした地域づくりと企業活動に向けた多彩な取組みと国土交通施策の展開 

(3)環境ビジネス

【環境にやさしい型枠の開発】
 建設工事におけるコンクリートの打設に使用されている型枠の多くは、熱帯材を原料とする合板であり、廃材として処理されている。環境問題への意識が高まる中、熱帯雨林の保護と廃棄物の減量化のためには、廃材処理される木製型枠の削減が求められている。K社では、関連会社が自動車部品の塗装で開発した技術を活用した防錆処理により、耐久性が高く、打設の後に取り外す必要がないコンクリート製の残存型枠を開発した。この製品は環境への配慮と同時に型枠を取り外す必要がないことから施工の合理化にも役立っている。また、地域のコンクリート製造会社が製造販売を行っているため、地域産業の活性化にも寄与している。7土木研究センターによる建設技術審査証明の取得は、信頼性の確保に役立っている。

 
<残存型枠工法の施工例>



【屋上緑化の先駆け】
 屋上緑化は、都市部におけるヒートアイランド現象の緩和やCO2の吸着による地球温暖化対策のための手段として注目され、国や地方公共団体においてもその導入を促進している。
 L社は、総合的な屋上緑化システムを通して都市環境や景観の創造・再生を目指し、ドイツの会社との技術提携により、現地において10数年培われたセダム薄層緑化について日本の気候風土に合わせた改良を行い、日本で初めて導入した。商品化に当たっては、植物と繊維マットを一体化させた構造とし、高温多湿な我が国の気候風土に適合した自生する多年生植物を採用したほか、雑草の侵入、水やり、施肥等の管理負担の軽減や、曲面・曲線といった形状への対応性の確保など顧客の要望を踏まえた努力が払われている。

 
<セダム薄層緑化の施工例>



 さらに、貯水・排水・給水機能を備え、大規模な人工地盤やビルの屋上から個人住宅の屋上やベランダまでの緑化に対応するため、施工の容易さや設計の自由度の確保を目指したユニット式の屋上緑化基盤システムも開発している。

【ディーゼルエンジン排気ガス減少装置の開発】
 M社は、大都市を中心とする大気汚染の状況を憂い、自動車のディーゼルエンジンの排気ガス浄化に取り組む必要性を認識し、排気ガス減少装置の開発に取り組んでいる。
 この排気ガス減少装置は、PM(粒子状物質)を大幅に除去するのみならず、同時に低減することが技術的に困難であったNOx(窒素酸化物)も減少させる機能を備えた装置であり、現在、使用されている車両にも取り付けることができる。今後、この装置の耐久性が確認され、普及が進めば、既存のトラックから排出されるNOxやPMが大幅に減少され、抜本的な大気改善が期待される。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む