第I部 活き活きとした地域づくりと企業活動に向けた多彩な取組みと国土交通施策の展開 

(国と地域)

 地域づくりは、地域の民間や行政が自らの創意工夫により進めていくことが重要であり、地域が、意識の醸成や取組みの契機づくり、人材の確保・育成、特色を活かした目標像の設定と取組みの実施等に主体性を発揮することが求められる。国は地域の自主的・自発的な取組みに対し、その取組みが当該地域を超えて有する効果や影響にかんがみて、広域的または全国的な観点や国際的な観点から必要な支援を行う。
 また、国が推進している施策に係る実際の取組みが地域において行われるものについて、国がその推進を図る立場から、積極的な支援を行い、地域と協働して取組みを進める場合においても、地域の創意工夫を活かしていく必要がある。

 高速道路や新幹線、空港、重要港湾といった国内・国際の基幹的な交通ネットワークの整備や安全、環境、利便性などに関する基本的なルールは、交流人口の拡大や産品・製品出荷の広域化、市街地のあり方、開発する新しい技術・商品・サービスの形態などを通じて地域づくりと企業活動に大きな影響を及ぼしている。また、経済社会の地球規模化や情報化が進展する中、我が国の経済活動の拠点である大都市圏と海外、国内各地、各地域間を結ぶ人流、物流のあり方や企業活動の基礎となる国の内外の市場のあり方は、地域や企業にとって一層重要となる。このため、国は、立地場所を選択し難い地域等が創意・工夫・知恵の競争に参加する機会の均等を確保するとともに、国際的な観点からも企業活動上魅力となる環境を形成するために必要な安全で質の高い居住・生活環境等を含む基礎的条件を確保していくため、重要な役割を果たすことが求められる。
 地域間の連携によって行われる取組みについては、地域の主体的な選択に基づいて役割分担と協力が行われることとなるが、各地域がそれぞれの強みを活かした特色ある個性的な取組みに集中することに伴い、地域が必要とする他の様々な機能については、近隣地域内や地方ブロック内、さらには全国的に複合的・重層的な分担・依存関係が求められることとなる。国においては、各地域の取組みに相乗効果をもたらす地域間の連携・協働を促進するとともに、このような観点から参加することによって地域の取組みの一層の推進が図られる場合もあると考えられる。
 さらに、外国人旅行者の訪日促進のための国際的な連携・協調体制の構築や我が国企業の海外活動に影響を及ぼす国際的な競争条件の整備や国際基準等への取組みについては、国が中心となって進めていく必要がある。
 活き活きとした地域や企業への取組みを促進する社会環境の形成には、国と地域が一体となって取り組んでいくこととなる。

 

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