第I部 活き活きとした地域づくりと企業活動に向けた多彩な取組みと国土交通施策の展開 

第2節 地域や住民、企業、NPO等との協働(パートナーシップ)関係の構築

(住民、企業、NPO等との協働)

 地域づくりの取組みが成果を上げるためには、行政とともに住民、企業、NPO等の幅広い自主的・主体的な参加を得て、それぞれの持つ能力を活かし、協調しつつ取組みを進め、その進展に応じて次第に住民や民間の活動の占める比重が増していくことが重要である。これらの主体がそれぞれの立場で参画し、協働して自らの地域の将来像を選択し、それぞれの役割に応じて自らの地域を守り、つくっていかなければならない。
 このため、国土交通行政においては、地域づくりは、行政と住民、企業、NPO等が協働関係(パートナーシップ)に立って進めるものであるとの認識のもと、活き活きとした地域づくりに関する施策の全般について、住民や民間の積極的な参画と意見の反映を促進していく必要がある。
 第1章で紹介した事例においても、桜の里親制度による桜堤の整備や里親同士の交流促進等の取組みなどが見られるように、これまで、国土交通省は、住民等との連携による河川・道路の清掃、除草、植樹管理等の推進や、住民や民間による都市計画提案制度の創設などに取り組んできた。

 
<住民による河川敷の清掃>



 今後は、さらに、NPO法人による都市再生に必要な公共公益施設の管理等を位置付けるとともに、民間による創意工夫を活かした歩道や河川敷地等の公共空間の活用を進める。
 また、観光まちづくり、みなとまちづくりや地域交通のあり方の検討における地域住民、企業、NPO等との協働作業を拡大するとともに、福祉輸送等における住民、NPO等の活動領域を拡大していく。
 さらに、行政、住民、企業、NPO、公共交通機関、商工団体、まちづくり会社、独立行政法人都市再生機構(平成16年7月設立予定)等の公的なまちづくり支援組織など多様な主体間の連携・協働を促進していくことが必要である。

 
<歩道を利用したオープンカフェ>



 
<交通アドバイザー会議>



 また、活き活きとした企業活動に向けた取組みにおいては、企業の創意工夫の発揮を前提とし、企業が自由に活動できるよう環境を整備することが基本であり、企業や利用者を始めとする国民が便益を受けられるよう、行政、企業、国民の3者が緊張感ある関係を築くことが重要である。一方、市場では対応できない分野については、行政、企業、NPO、学識経験者等が適切な役割分担のもと、協働して問題に対応していくことが必要である。
 国土交通行政においては、先駆的な取組みや、適切な競争が行われるよう、政策の立案や市場の監視にあたり、企業、国民の意見を十分反映していく。また、環境・安全問題への対応、先進的な技術の開発・普及、過疎地の交通への対応など市場では十分に対応できない分野については、適切なルール設定や支援を行い、関係者の協働で問題の解決を図っていく。

 

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