第II部 国土交通行政の動向 

(1)国際組織犯罪対策への取組み

 近年、我が国の治安と健全な社会生活を脅かしている、薬物・銃器の不正取引や、来日外国人による強盗やピッキング用具を使用した侵入盗の多発は、国際犯罪組織が関与する密輸・密航事犯がその一因となっていると考えられており、悪質・巧妙化する薬物・銃器の密輸入事犯及び集団密航事犯を水際で阻止し、治安を回復するため、国際組織犯罪の取締体制及び洋上、港湾等における監視取締体制を強化することが極めて重要である。
 国際組織犯罪に対しては、政府内に、平成7年9月「銃器対策推進本部」、9年1月「薬物乱用対策推進本部」、13年7月「国際組織犯罪等対策推進本部」がそれぞれ設置され、関係機関が連携し、薬物・銃器の密輸、密航事犯の組織犯罪に対する対策を強化している。特に、薬物乱用対策推進本部では、海路による薬物密輸の増加を踏まえ、15年7月、中国・北朝鮮ルート等海路による密輸入への対応の強化を盛り込んだ「薬物乱用防止新五か年戦略」を策定した。
 薬物・銃器の密輸、密航事犯は、水際での取締りが効果的であることから、海上保安庁では、犯罪情報の収集・分析の推進、監視能力等を向上させた巡視船艇、航空機による監視取締りを実施するとともに、警察、税関等の関係取締機関との情報交換、入港船舶に対する合同立入検査を行っている。さらに、韓国、ロシア及び中国の海上警備機関とそれぞれ二国間の協力関係を構築し、情報交換、定期協議の開催等を積極的に実施し、効果的な密輸・密航対策を講じている。
 また、各管区海上保安本部に国際刑事課または国際犯罪対策室を設置するとともに、第三管区海上保安本部に「国際組織犯罪対策基地」を設置し、情報収集・分析体制及び機動的かつ広域的な捜査体制を強化しており、さらに、中国、北朝鮮、東南アジア諸国等からの直航船をはじめとする外国船舶への立入検査、監視を強化するため、これらの要員を整備しているところである。

 

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