第II部 国土交通行政の動向 

(2)居住・生活環境のバリアフリー化

1)住宅のバリアフリー化
 第八期住宅建設五箇年計画においては、平成27年度には、手すりの設置、広い廊下幅の確保、段差の解消等がなされた住宅ストックの割合を全住宅ストックの2割にするという目標を掲げ、高齢者等の自立や介護に配慮したバリアフリー住宅の建設、購入やバリアフリー化のための改良について支援を行っているほか、公共賃貸住宅についてはバリアフリー住宅を標準仕様とするなど、良質な住宅ストックを確保するために一層のバリアフリー化を推進している。

2)建築物のバリアフリー化
 建築物のバリアフリー化については、ハートビル法(注)に基づいて推進されてきたが、より一層のバリアフリー化を促進するため、平成15年4月から、一般の多くの人が利用するデパートやホテル等の新築等の際にバリアフリー化を義務づけることなどが行われている。
 また、官庁施設においても、窓口業務を行う事務室の出入口への自動ドア、多機能トイレの設置等による高度なバリアフリー化庁舎を整備している。平成15年度には、中部空港地方合同庁舎(愛知県)、高松地方合同庁舎(香川県)等の整備に着手した。

 
図表II-5-5-2 ハートビル法に基づく認定実績

平成14年度におけるハートビル法に基づく認定件数は280件であり、累積で2,272件となった。
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3)バリアフリーで快適な歩行空間の整備
 主要な鉄道駅等を中心とする地区において、高齢者等に配慮した安全で快適な歩行空間を形成するため、交通バリアフリー法等に基づき、幅の広い歩道の整備、段差・傾斜・勾配の改善による歩道のフラット化、エレベーター付きの立体横断施設等によるバリアフリー化された歩行空間ネットワークの整備を実施している。

4)公園のバリアフリー化
 都市公園において、園路の幅員と勾配の工夫、縁石の切り下げ、手すりの設置、誰もが使いやすいトイレの整備を行う等、高齢者等に配慮した、安全かつ快適に利用することができる都市公園の整備を実施している。

 
<より多くの人に使いやすい都市公園>



5)河川空間等におけるバリアフリー化
 身近な自然空間としての河川等の魅力を誰もが享受できるよう、河川の近隣に病院や老人ホーム、福祉施設などが立地している地区や、高齢者の割合が著しく高い地域等において、水辺等にアプローチしやすいスロープや手すり付きの階段、緩傾斜な堤防の整備等のバリアフリー化を推進している。平成15年度には、旭川(岡山県)等で実施している。

 
<緩傾斜スロープの設置事例(京都府鴨川)>



6)港湾空間におけるバリアフリー化
 みなとを訪れた人々が安全かつ身体的負担の少ない方法で船舶に乗降できるよう揺れにくい浮桟橋の設置等を推進している。さらに、港湾緑地についても、誰もが水辺にアプローチできるよう、スロープ、手すりの設置等の整備を推進している。

 
図表II-5-5-3 平成15年度での港湾空間におけるバリアフリー化整備例

津松坂港贄崎地区、蒲刈港丸谷地区で浮桟橋の設置、三河港御津地区緑地で身体障害者用トイレ、駐車場等の設置、宮崎港本港地区緑地でスロープ・手すり、身体障害者用トイレの設置を実施している。
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(注)高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律

 

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