第II部 国土交通行政の動向 

(3)交通運輸市場における競争条件の整備と規制緩和の推進

 従来、国土交通省は、交通事業の公共性、特殊性、安全の確保等の観点から、需給調整規制等の各種規制を設け、交通サービスの確保と交通事業の健全な発展を図ってきた。しかし、経済活動の地球規模化や、国内における経済の成熟化に伴う国民の価値観の多様化等が進行し、社会全般における規制を緩和・撤廃し、市場原理及び自己責任原則の導入を図ることにより、経済社会の活性化を図ることが求められるようになった。
 このため、国土交通省は、事業者による創意工夫及び市場における公正かつ自由な競争を通じて事業活動の活性化・効率化を図り、サービスの多様化や高度化、運賃の多様化や低廉化等利用者の利便の増進を図るため、需給調整規制の廃止等の規制緩和を進めてきている。また、規制緩和にあわせ、事業監査体制の強化や利用者への情報提供を強化するとともに、適正な競争を行う上で障壁が存在する業種については、新規事業者への優遇等を講ずるなど適正な競争が行われるよう条件整備を進めている。
 平成15年度においては、貨物鉄道事業の参入の許可に際しての需給調整要件の廃止、トラック事業の営業区域規制の廃止、貨物運送取扱事業の登録制の廃止等の規制緩和を実施した。

 
図表II-6-1-2 21世紀型交通政策における行政の役割

21世紀型交通政策における行政の割合としては、民間活動領域における活発な競争の展開を通じた運航頻度の増加、価格低下、多様なサービスを通じた消費者利益の増大を計るため、市場原理を活用するための環境整備、市場原理のみでは十分対応できない課題への対応が挙げられる。

 

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