また、高規格幹線道路・地域高規格道路をはじめとする幹線道路ネットワークについては、南北に細長く、山脈や海峡により地域間の交流が阻害されている我が国の国土を有効に利用するための有効な社会資本である。しかし、例えば、日本と同程度の面積を有するドイツと比較すると、人口50万人以上の都市間の平均距離では、我が国はドイツの約2倍となっているにもかかわらず、高規格幹線道路の供用延長については、ドイツの11,515kmに対し、我が国は8,344kmと約3分の2にとどまっている。中国と比較すると、中国では、我が国より26年遅れの1988年に初めて高速道路が開通したにもかかわらず、既に25,130kmが開通しており、実に我が国の9倍のペースで整備が進められている。また、大都市の環状道路整備の遅れについては、
第3章でみたとおりである。このように、我が国の幹線道路の整備水準は、欧米諸国の水準と比較しても遅れている状況であり、引き続き我が国の国土を効率的かつ有効に利用するための高規格幹線道路等の着実な整備が必要である。
なお、公共事業改革の流れの中で、今後の着実な整備のあり方に関して整備効果と必要性、整備手法等について検討を進めており、特に高速自動車国道については、学識経験者からなる「道路事業評価手法検討委員会」の検討結果を踏まえ、厳格な事業評価を実施したところである。この評価結果を踏まえて、「有料道路方式」と「直轄方式」の二本立てにより、真に必要な道路の着実な整備を進めていく。