第II部 国土交通行政の動向 

(2)自動車旅客事業の動向と自動車運転代行者の適正化

1)自動車旅客事業の動向
 (ア)乗合バス事業
 乗合バスの輸送人員は、平成14年度においても一貫して減少傾向にあるが、輸送人キロは前年度より増加に転じ、平均輸送距離はここ数年増加傾向となっている。これは移動距離が長い高速バス輸送が好調であるためと考えられる。

 
図表II-6-6-1 乗合バスの輸送量の推移

乗合バスの輸送量は、輸送人員、輸送人キロベースともに平成5年以降減少傾向にあるが、平均輸送距離は、近年増加傾向にある。
Excel形式のファイルはこちら


 (イ)貸切バス事業
 貸切バスの輸送人員・輸送人キロともに増加傾向にあるものの、平均輸送距離は一貫して低下傾向にある。
 これは、旅行者のいわゆる「安・近・短」志向の顕在化を背景として、貸切バス事業者が比較的距離の短いサービスを提供していることを示唆しているものと推測される。

 
図表II-6-6-2 貸切バスの輸送量の推移

貸切バスの輸送人員は、平成5年以降ほぼ横這いであったが、平成11年以降4年間は増加している。また、平均輸送距離は平成11年以降、激減している。
Excel形式のファイルはこちら


 (ウ)タクシー事業
 ハイヤー・タクシーの輸送量は長期的に低落傾向にあったが、平成14年度においては、若干増加に転じた。これは運賃の多様化等事業者の創意工夫による輸送サービスの改善などが一要因であると思料される。
 また、貸切バス事業、乗合バス事業、ハイヤー・タクシー事業のいずれも営業収支率等をみると、経営は引き続き厳しい状況にある。

 
図表II-6-6-3 ハイヤー・タクシーの輸送量の推移

ハイヤー・タクシーの輸送量は、輸送人員、輸送人キロベースともに平成5年以降平成14年まで徐々に減少来ている。
Excel形式のファイルはこちら


2)自動車運転代行業の適正化
 自動車運転代行業については、従来は特段の法的規制はなされておらず、交通事故の割合が高い、暴力団関係者が関与しやすい、違法なタクシー類似行為が行われやすい、不明瞭な料金や保険契約の未加入等利用者保護に欠けるという問題が指摘されていた。
 これらの問題に対処するため、自動車運転代行業を営む者について必要な要件を認定する制度、自動車運転代行業者の遵守事項の規定等を主な内容とする「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」が、平成14年6月から施行されている。
 国土交通省においては、警察庁と連携して同法の適切な運用を行うことにより、自動車運転代行業の業務の適正な運営を確保し、交通の安全及び利用者の保護を図っている。なお、平成15年8月末現在の認定申請件数は全国で5,304件、認定件数は5,157件となっている。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む