第II部 国土交通行政の動向 

(7)航空事業の動向

1)航空輸送の動向
 運賃低下による需要誘発効果もあって、国内旅客輸送量は順調に増加しており、なかでも幹線旅客の伸びが大きくなっている。一方、国内航空貨物輸送は景気の低迷等を反映して大幅に落ち込んだ平成13年度に引き続き、14年度も減少傾向となっている。
 国際旅客輸送については、近年まで堅調に推移してきたが、平成13年9月の米国同時多発テロ事件により、米国路線を中心として、大幅な落ち込みを見せたところである。14年度には、テロ前の水準には至らないものの、一定程度の回復が見られたが、15年3月以降、イラク戦争に続き、SARSの流行による影響でアジア路線を中心に再び大幅な減少が見込まれている。一方、国際貨物輸送については、13年度はテロの影響を受け大幅に減少したが、旅客に比べ回復が早く、14年度にはテロ前の水準まで回復を見せている。

 
図表II-6-6-7 国内航空旅客数の推移

国内航空旅客数は、昭和45年の1,543万人から着実に増加し続け、昭和60年には4,378万人、平成7年には7,810万人、平成14年には9,505万人となっている。
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2)国内航空分野における競争促進策
 国土交通省は、これまで国内航空運送事業について需給調整規制の撤廃、運賃の事前届出制への移行等の規制緩和を実施するとともに、航空輸送サービスを提供する上で基盤となる混雑飛行場における発着枠の配分に当たっては、新規航空会社を優遇する措置をとってきた。これによって、新規航空会社の参入等を通じて、主要路線における運賃の低下等、目に見える形で多くの利用者に競争促進の効果が及んでいるところである。
 一方で、平成14年6月のエアドゥによる民事再生手続きの申立て、同年8月のスカイネットアジア航空の新規参入等、新規航空会社において新たな動きがあったほか、既存航空会社においても同年10月に日本航空と日本エアシステムが経営統合を行うなど、我が国航空市場は、新たな局面を迎えている。
 国土交通省では、新規航空会社に対する羽田空港発着枠の優先配分、空港施設の利用条件の均等化等を通じて、我が国航空市場における競争環境をさらに整備することにより、新規航空会社の参入等による利用者利便の一層の向上を図っている。

3)航空事業経営基盤強化総合対策
 近年、我が国航空業界の厳しい経営環境の中、諸外国の航空会社との厳しい競争に立ち向かいつつ、公共交通機関としての役割を果たしていくことが必要との観点から、国土交通省では平成15年8月に「航空事業経営基盤強化総合対策プログラム」を発表し、航空会社による自助努力を促すとともに、航空需要の喚起、利用者本位の質の高い航空サービスを提供していくための取組みの強化、規制の見直し等、総合的な対策を図ることとした。

 

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