第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

(大都市の機能の維持・向上)

 大都市は、国の経済を代表する存在として、世界から人や物を惹きつけ、情報発信を行っていくことにより世界における存在感を示していくことが、当該地域のみならず一国の活力の観点からも重要である。しかしながら、東アジアにおいては、東京の国際会議の開催件数が減少する一方でソウルや北京の開催件数が増加するなど、我が国の大都市の競争力の低下が懸念される状況となっている。国際的な活動の拠点として大都市が機能していくため、世界からのアクセス性の向上、外国人が活動しやすい環境の整備、集積による都市的活動の魅力を発揮するための都市機能の維持・向上などを進めていく必要がある。
 大都市では、様々な人が居住し、各種の機能が存在する多様性がもたらす知識や情報の交流から新たな価値が生み出され、そのことが活力へとつながっていく。地球規模で社会経済活動が展開される時代にあっては、国内のみならず海外からも人や情報を惹きつけ、集積から新たな価値が生み出されてさらに都市の魅力を高める好循環を形成することが重要になる。情報通信手段が発達した時代になっても人と人の直接の交流の重要性は変わらず、また、物の流れは情報通信では代替できない。大都市について、海外、特に近隣諸国との緊密・円滑な交通ネットワークを形成するため、国際空港・港湾の整備のみならずこれら空港・港湾と大都市を結ぶネットワークを充実していく必要がある。また、大都市の環状道路や都市鉄道の整備により集積の負の側面である渋滞等の弊害を取り除き、集積がもたらす魅力を最大限に発揮できるようにしていく必要がある。

 
図表I-4-1-1 国際会議開催件数の推移

1998年と2002年の国際会議年間開催件数を見ると、東京が70件から43件に減少する一方、北京が37件から59件に、ソウルが48件から81件に増加している。
Excel形式のファイルはこちら


 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む