第II部 国土交通行政の動向 

(2)企業評価のあり方、不良・不適格業者の排除

 (ア)公共事業における企業評価
 経営事項審査を中核とする企業評価制度については、最近、1)規模の競争ではなく技術力・質による競争を促す、2)建設業者の経営状況を一層的確に反映させる、等の観点から改正を行ってきた。
 また、経営事項審査における虚偽申請に対しては、審査行政庁において、申請受付の段階で重点的に調査すべき者を体系的に抽出し、厳格な調査を行う体制を整備するとともに、外部の専門家と連携した審査等、虚偽申請の徹底的な排除に向けた施策についても検討している。

 (イ)不良・不適格業者の排除
 不良・不適格業者(注)を放置することは、適正な競争を妨げ、公共工事の品質確保、適正な費用による施工等の支障になるだけでなく、技術力・経営力を向上させようとする優良な建設業者の意欲を削ぎ、建設業の健全な発達を阻害する結果を招くこととなる。
 このため、入札契約適正化法により、公共工事においては一括下請負を全面的に禁止するとともに、発注者に対する施工体制台帳の写しの提出を義務付け、公共工事発注者に対して施工体制台帳を活用した適正な施工の確保を要請している。
 また、建設業許可行政庁が直接工事現場や営業所等に立ち入り検査を実施するなど、建設業法違反への一層厳正な対応を行うことにより、不良・不適格業者の排除の徹底を図っている。

 (ウ)「ダンピング受注」対策の実施
 建設市場の縮小に伴う競争の激化を背景に増加傾向にあるいわゆる「ダンピング受注」は、工事の手抜き、下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底につながりやすいことから、これを的確に排除することが重要であり、国土交通省直轄工事においては、従来から低入札価格調査制度の実効性のある実施などの対応を行ってきている。さらに、平成15年度からは、国土交通省直轄工事の低入札価格調査対象工事において、1)履行保証割合を1割から3割に引き上げる、2)前払金を4割から2割に縮減する、3)過去2年以内に竣工した工事等に関し一定の要件に該当する企業が低価格で受注した場合において監理技術者相当技術者を1名増員させる、等の取組みを行っている。また、調査基準価格を上回る工事についても、比較的低価格で受注した工事については重点的な監督業務を実施している。
 さらに、地方公共団体に対しても、低入札価格調査制度の適切な運用等ダンピング受注の排除に向けた様々な施策が行われるよう要請している。


(注)一般的に、技術力、施工能力を全く有しないペーパーカンパニー、経営を暴力団が支配している企業、対象工事の規模や必要とされる技術力からみて適切な施工が行い得ない企業、過大受注により適切な施工が行えない企業等を指す。

 

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