第II部 国土交通行政の動向 

(6)航空保安対策の推進

1)航空における保安対策の強化
 米国同時多発テロ事件以降、航空保安をめぐる情勢は依然厳しい状況にあり、平成16年8月にはロシア航空機2機同時墜落事件が発生するなど、航空保安対策の強化が急務となっている。このため、航空会社等による空港警戒態勢については最も厳しい保安体制を維持するとともに、空港管理者に対して空港警備の徹底を指示し、航空保安体制の強化を図っている。
 平成16年5月から、全空港において随時の靴検査の徹底を指示するとともに、6月から爆発物を自動的に探知する新しい手荷物検査システム(インラインシステム)を、11月からは主要空港において液体物検査装置を導入し、危険物等の機内への持込防止対策の強化を図っている。
 また、スカイ・マーシャル(警察官による航空機への警乗)については、SAFTIにおける合意等を踏まえ、航空機へのハイジャック・テロ犯に対する抑止力が期待できるとともに、航空保安の手段としても有効であることから、我が国においても平成16年12月より導入している。
 さらに、薬物中毒者が、車両で空港のフェンスを突破し、滑走路を横断した羽田空港侵入事案が発生したことを教訓として、主要空港において場周柵の強化、センサーの設置等による侵入防止策を講じている。
 今後、国際民間航空機関(ICAO)による国際標準の強化等を踏まえ、空港の保安体制に対する査察の強化、空港管理者等による保安措置に関する計画策定の法定化、空港内の特定の区域に立ち入る全ての者に対する保安検査の実施等、国際基準に合致した航空保安対策の実施を行うこととしている。

2)航空保安に係る国際的な連携・協力
 航空の国際性にかんがみると、有効なテロ対策を展開していくためには国際的な協調が不可欠である。我が国は、ICAOが実施する航空保安行動計画に積極的な資金的貢献を行うとともに、ASEAN地域の航空保安の向上のための連携・協力に向けた専門家会合の開催等のプロジェクトを実施している。
 また、開発途上国に対する技術協力として、航空保安関係者を集めた航空保安セミナーの開催や、主要空港への無償での保安検査機器の導入等の支援を実施している。

 

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