第I部 安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開 

(2)テロ事件・海賊事件

 2004年(平成16年)3月のスペイン・マドリードでの列車同時多発爆破テロ事件、2005年(平成17年)7月の英国・ロンドンでの地下鉄等同時多発爆破テロ事件等公共交通機関を標的としたテロ事件が全世界で発生しており、同年3月のマラッカ海峡での日本籍船襲撃事件等の海賊及び船舶に対する武装強盗(注)(いわゆる「海賊」)事件も発生している。

 
図表I-1-2-12 公共交通機関を標的とした近年の主なテロ事件

近年、公共交通機関を標的としたテロ事件が発生している。2004年には、ロシアの地下鉄、フィリピンのフェリー、ロシアの航空機等をねらったテロ事件が発生した。また、2005年には、イギリス、ロンドンの地下鉄等をねらった同時多発テロ事件が発生した。
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1)ロンドン地下鉄等同時多発爆破テロ事件
 2005年(平成17年)7月7日、英国・ロンドンにおいて、テロによる地下鉄及びバスでの爆破で約60名が死亡、約700名が負傷する事件が発生し、同月21日にも再び地下鉄及びバスでの爆破事件が発生した。
 これを受け国土交通省では、防犯カメラの増設、駅構内等における巡回警備の強化等公共交通機関に係るテロ対策の緊急点検と徹底を指示した。

2)タグボート「韋駄天」襲撃事件
 平成17年3月14日、日本籍タグボート「韋駄天」がマラッカ海峡を航行中、武装集団に襲撃され、日本人の船長と機関長、フィリピン人乗組員の計3名が身代金目的に誘拐された。
 国土交通省は、関係機関等からの情報収集を行い、翌15日には我が国外航海運船社に対し、本事件に関連した警戒の強化及び通報の奨励について海上保安庁との共同通達を発出し、注意を呼びかけた。一方、海上保安庁は、沿岸国海上保安機関に対し被疑船舶の捜索及び情報提供を依頼し、情報収集のために職員を現地に派遣した。3月20日、連れ去られた3名はタイ南部サトゥン沖合でタイ海上警察によって無事保護された。


(注)海賊とは国連海洋法条約第101条において定義されている公海上の不法行為のことをいい、また、船舶に対する武装強盗とは国際海事機関(IMO)の定義によると、沿岸国の管轄権内における船舶、又は船舶内にある人、若しくは財産に対する不法な暴力行為、抑留、略奪行為、又はそれに係る脅迫のことをいう。

 

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