第I部 安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開 

(2)偽装問題に対する当面の対応

 国民生活や経済活動の基盤である建築物に対する国民の不安が生じている事態を踏まえ、政府においては、平成17年11月25日、「構造計算書偽装問題に関する関係省庁連絡会合」を設置するとともに、12月6日に「構造計算書偽装問題に関する関係閣僚による会合」を開催し、「構造計算書偽装問題への当面の対応」を取りまとめた。
 「当面の対応」においては、偽装が判明した建築物への対応として、相談窓口の整備、居住者等の安全確保のための受入住宅の確保と使用禁止命令等の発出、売主(建築主)への誠実な対応の要請、関係者の処分・告発を行うとともに、売主(建築主)への徹底した責任追及を前提に、危険な分譲マンション(保有水平耐力比が0.5未満であり、震度5強程度の地震で倒壊するおそれがあるもので、耐震改修が困難なもの等)の購入者に対して、住宅金融公庫融資の特例措置の適用や相談・移転・除却・建替えまでの総合的な公的支援策を講じることとした。また、建築物の耐震性に係る国民の不安解消のため、相談体制の確立、耐震診断・耐震改修の促進、建築確認・検査制度の総点検と再発防止策の検討等を行うこととした。
 国土交通省においては、関係省庁や関係地方公共団体と一体となって、「当面の対応」に基づき、マンション居住者等の安全と居住の安定確保に向けた取組みを進めるとともに、建築物に対する国民の不安の解消に向けて、「緊急建築確認事務点検本部」における建築確認・検査事務の緊急点検、国土交通大臣の私的諮問機関として発足した「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」における行政対応上の問題の検証及び今後の建築行政における緊急対応のあり方に関する調査検討、社会資本整備審議会建築分科会における現行制度の検証及び再発防止策の検討を実施した。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む