第I部 安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開 

3 交通の集中下における事故・トラブルとその影響

(都市部の交通機関における事故、輸送障害等の影響)
 平成17年7月23日に発生した千葉県北西部を震源とする地震では、首都圏の多くの鉄道の運行が停止し、点検のために運転再開までに長時間を要したため、JR東日本で約44万人、東京メトロで約93万4千人に影響が及んだとされている。
 また、平成17年8月2日には、東京国際空港(羽田)の電源設備に障害が発生したことにより、レーダー施設等の航空管制施設が50分間にわたり使用できなくなり、管制機能が麻痺した。これにより、497便の定期便、約10万人に影響が及んだ。同空港では、同年10月17日にも横須賀港の米海軍所属艦船から発信された電波により、航空機上で滑走路までの距離を示す計器に誤表示が発生し、295便の定期便に影響が及んだ。
 さらに、平成17年11月7日には、JR東日本山手線内回りの有楽町駅〜東京駅間で、架線を張っている装置の一部が破損し、おもりが外れたことにより架線が垂れ下がった。この輸送障害により、最大約5時間にわたり山手線と京浜東北線の運転が一時ストップし、56本が運休、80本に最大4時間を超える遅れが出て、約17万人に影響が及んだ。
 これらの事例のように、交通の集中している都市部の鉄道や空港においていったん事故、輸送障害等が発生し、運行(航)再開までに時間を要した場合は、多くの利用者に影響を及ぼすこととなる。
 さらに、現在交通機関の多くの機能が情報システムに依存するようになってきており、サイバー攻撃等の意図的要因、人為的ミス等の非意図的要因、さらには地震等の自然災害等によりITの機能不全が発生し、サービスの停止や機能の低下が起きる危険性が大きくなっている。このようなIT障害が交通ネットワークの中核である都市部の交通機関において発生した場合、社会経済に与える影響は特に大きくなると考えられるため、これらへの対応もますます重要となってきている。

(都市部における踏切対策の必要性)
 我が国には約3万6千箇所の踏切が存在するが、このうちピーク時1時間当たりの遮断時間が40分以上のいわゆる「開かずの踏切」は約600箇所あり、その95%以上が三大都市圏に集中している。
 最近の「開かずの踏切」での死傷事故の発生等も踏まえ、交通の集中する都市部における踏切事故の防止及び交通の円滑化の観点から、「開かずの踏切」等の解消に向けた踏切対策の強化・スピードアップが求められている。

 
図表I-2-3-10 全国の「開かずの踏切」に占める三大都市圏の割合

三大都市圏には、「あかずの踏切」が595カ所あり、全国のうち97.4%を占めている。
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