第I部 安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開 

第5節 建築物の安全・安心を脅かす課題

 住宅、マンション等の建築物は、国民生活の最も基本的な基盤であり、自然災害から生命・財産を守る役割を担うものである。

 
図表I-2-5-1 新設住宅着工戸数の推移

新設住宅着工戸数の推移を見ると、昭和46年は百五十三万二千戸、そのうちマンションが六万三千戸、昭和49年は百二十六万一千戸、そのうちマンションが七万四千戸、昭和52年は百五十三万二千戸、そのうちマンションが十一万六千戸、昭和55年は百二十一万四千戸、そのうちマンションが十四万六千戸、昭和58年は百十三万五千戸、そのうちマンションが十二万九千戸、昭和61年は百四十万戸、そのうちマンションが十一万六千戸、平成元年は百六十七万三千戸、そのうちマンションが十八万六千戸、平成4年百四十二万戸、そのうちマンション十一万一千戸、平成7年は百四十八万五千戸、そのうちマンションが十九万八千戸、平成10年は百十八万戸、そのうちマンションが百六十六万戸、平成13年は百十七万三千戸、そのうちマンションが二十二万三千戸、平成16年は百十九万三千戸、そのうちマンションが二十万七千戸である。
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(住宅の耐震化)
 近年、大規模地震発生の切迫性が高まっており、さらに未知の活断層が全国各地に存在することから、いつどこでも地震が発生し得る状況にあり、地震による住宅の倒壊を防ぐために住宅の耐震化を早急に図ることが重要である。
 住宅の耐震化率については、全国平均で約75%であり、耐震化率の向上に向けた取組みが求められている。

 
図表I-2-5-2 住宅の耐震化率

住宅については、総数4,700万戸のうち、約75%、3,550万戸が耐震性を満たすと推定され、約25%、1,150万戸が耐震性が不十分であると推定される。また、非住宅については、総数340万戸のうち、約65%、220万棟が耐震性を満たすと推定され、約35%、120万棟が耐震性が不十分であると推定される。
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 こうした中、耐震基準を満たさないマンションやホテルを建築した構造計算書偽装問題、耐震補強やしろあり駆除等を理由とした悪質リフォーム問題、完了検査後不正に建築物を改造した不正改造問題等が発生し、国民の生活を脅かしている。

(構造計算書偽装問題)
 今般の問題では、建築物の安全性確保に大きな責任を有する一級建築士が構造計算書を偽装し、それを設計図書の作成、建築確認、住宅性能評価、工事施工のそれぞれの段階で、元請建築士事務所、指定確認検査機関、特定行政庁等のいずれもが見抜くことができなかったことから、建築物の耐震性に対する国民の不安が広がるとともに、建築確認・検査制度等への信頼が大きく揺らいでいる。
 このような事態を踏まえ、一刻も早く国民が安心して住宅の取得や建築物の利用ができるよう、以下の課題に早急に対応していくことが必要である。

 

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