第II部 国土交通行政の動向 

3 良好な都市環境の構築

(1)ゴミゼロ型都市への再構築

 都市再生プロジェクト第一次決定では、大都市圏において、廃棄物の発生抑制、資源としての再使用・再利用を進め、資源循環の「環」を形成することにより、ゴミゼロ型都市への再構築を行う「大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築」が位置付けられている。このため、首都圏及び京阪神圏において、「ゴミゼロ型都市推進協議会」を設置し、ゴミゼロ型都市の再構築に向けた中長期計画を策定するとともに、平成17年10月にはそれぞれフォローアップを行った。また、中部圏においても同年9月に協議会を立ち上げ、中長期計画策定に向けて検討を始めている。
 建設副産物については、昭和40年代以降に急増した建築物が更新を迎え、その解体・改修に伴って建設副産物が急増する見込みであること等から、これまで以上に建設副産物のリサイクルの推進が必要とされている。このため、特に建設廃棄物の最終処分量の約3割を占める建設混合廃棄物の排出量を削減する必要があり、そのためには建設現場で徹底的に分別することが重要であるが、一方、分別を徹底すれば建設副産物が小口化・多品目化し、従来の方法では運搬回数が大幅に増加することとなる。このため、平成17年6月に設立された首都圏建設副産物小口巡回共同回収システム構築協議会において、複数の建設現場を巡回し共同搬送を行うシステムの構築に向けた検討が進められている。

 
図表II-3-3-8 建設副産物小口巡回共同回収システム

建設副産物小口巡回共同回収システムは、リサイクルが困難で建設混合廃棄物になることが多い、小口・少量の建設副産物(例えば木くずやプラスチック等)を個々の事業者ではなく、共同で、建設副産物を工事現場等から、収集し、静脈物流センターへ集め、再資源化施設へ運搬するシステムである。

 さらに、リサイクルの進展に伴う廃棄物輸送の拡大により大量の自動車輸送が生じることが予想されるが、大都市圏においては、既に交通公害・交通渋滞が極めて深刻な状況になっているため、大気汚染防止、地球温暖化防止、交通の円滑化の観点等も踏まえ、環境負荷・交通負荷の小さい物流体系を構築していくことが必要である。このため、大量輸送に適した海上輸送による広域的な静脈物流ネットワークの拠点として、リサイクルポート(総合静脈物流拠点港)の整備を行っている。

 
図表II-3-3-9 東京湾における各臨海部の現状と整備の方向性

東京湾では周辺各地から、廃棄物が多く排出されており、一部は輸出されている。そこで、東京臨海部、京浜臨海部及び千葉臨海部のいずれの地域でも、リサイクル処理施設や国際静脈物流の拠点等の整備を進める方向である。

 

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