第II部 国土交通行政の動向 

4 街なか居住の推進

 子育て、家庭の団らん等の時間的なゆとりのある生活や文化・ショッピング等を重視した生活を実現するとともに、長時間通勤の問題や通勤混雑による外部不経済を是正することが求められている。このため、職と住の均衡した都市構造を形成するとともに、都心地域においては、居住を含む多様な都市機能が高度に複合した魅力ある市街地への更新により「街なか居住」を推進していく必要がある。また、これと併せて工場の移転等による無秩序な土地利用転換の進行、大規模な低未利用地の存在、都市基盤が未整備な木造密集市街地の存在、バブル経済の崩壊により虫くい状に放置された中小規模の低未利用地の存在等、良好で安全な都市環境づくりのために解決すべき課題も多い。
 他方、地方都市においては、中心部における居住人口の減少が進行し、中心市街地における活力の低下・衰退の要因となっていることに加え、これまで整備してきた上下水道、道路及び学校等が必ずしも有効に利用されていない一方で、新たに郊外部で整備が必要となる例も出ている。また、高齢者や子育て世帯を中心に歩いて暮らせるような中心市街地の生活を求めるニーズも少なくない。
 このような状況の下、総合設計制度、高層住居誘導地区、用途別容積型地区計画等の活用により住宅供給を誘導するとともに、住宅市街地総合整備事業を始め、都心共同住宅供給事業、住宅供給を含む市街地再開発事業、土地区画整理事業、街なか居住ファンド等の実施により、職住近接型の良好な市街地住宅の供給、良好な住宅市街地の整備による街なか居住、中心市街地の活性化を総合的に推進している。平成17年度において、住宅市街地総合整備事業は東雲地区(東京都)、戸畑地区(北九州市)等約300地区で実施している。

 

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